日本の「大学センター試験」にあたる韓国の試験が「大学修学能力試験」である。大学修学能力試験(以下、『修能試験』)は高い教育熱のため、国民的な関心事である上、国家的な行事ともいえるほどだ。修能試験が行われる日は、国中が、"超非常モード"になる。
出題委員は1カ月以上監禁
毎年11月第2週の木曜日が修能試験日と定められている。修能試験問題の出題委員は問題が外部に流出されるのを防ぐため、1カ月以上監禁生活を強いられる。修能試験の当日は公務員の出勤時間が1時間延ばされる。証券市場の開場と銀行の業務時間も1時間延ばされる。毎年、遅刻する受験生を警官がバイクやパトロールカーに乗せて試験場所の正門まで乗せてやるという珍しい風景が、修能試験日に必ずみられる。
英語テストは読解力(Reading)と聞き取り(Hearing)、この2技能だけで学力を評価する。英語試験問題は計45問のうち、聞き取り評価は17問であり、35分以内に実施される。英語聞き取り(Hearing)試験時間には、受験生が騒音による被害を被らないよう飛行機の運航が統制される。
国土交通部(省)は昨年11月15日、修能試験日に英語のヒアリング評価が実施される午後1時5分から1時40分までの35分間にわたって全国のすべての航空機の運航を全面的に統制した。
航空機の離発着禁止
この時間帯には非常・緊急航空機を除くすべての航空機の離着陸が国内すべての空港で禁止される。飛行中の航空機は管制機関の統制を受け、地上3キロ以上の上空で待機しなければいけない。離着陸禁止は民間航空機だけでなく軍航空機も含まれており、この時間に飛行訓練もない。仁川空港に降りる飛行機数十台が1万ピートの上空で30分以上旋回しながら待たなければならない。また、試験場周辺のバスや列車などすべての車両は徐行しなければならず、クラクションなどの騒音を出してはならない。
世界のどこにもないはずの、各国の航空会社が理解に苦しむような制度が1994年から続いて来るのを見れば、韓国社会で、「修能」が占める重要性と意味がどの程度なのか知ることができるだろう。修能成績は大学進学はもちろん、就職や結婚にまで影響を及ぼす。学歴社会の断面を見せてくれる。このような尋常でない韓国人の教育熱は、私的教育の熱風に繋がる。