2024年12月23日(月)

WEDGE REPORT

2019年7月15日

日本製品のボイコットを呼びかけるソウルのお店(YONHAP NEWS/AFLO)

 韓国得意の告げ口外交を久々にみた。以前にもまして派手、活発というべきか。

 康京和外相が7月11日、日本からの輸出規制に関連して、米国のポンペオ国務長官に電話で韓国の窮状を訴えた。米国に日本を説得させようという思惑があからさまだが、大量破壊兵器に転用可能な戦略物資を、韓国企業が違法に輸出していたと日本の各紙が報じたことで、状況が大きく変わった。

 これら物質の流出先は、シリアやイランなど北朝鮮の友好国。各国の安全保障に大きな脅威を与える恐れがあり、このことが日本の輸出規制決定の大きな要因になったようだ。ことは深刻であり、韓国にとっては告げ口外交など憂き身をやつす次元の問題ではもはやなくなった。

米政府にとっては迷惑?

 康外相はポンペオ長官に対し、「(輸出規制強化は)グローバルな供給網を混乱させ、米企業はもちろん、世界の貿易秩序にも否定的な影響を与える」として、外交的解決に向けて努力すると伝えた。そのうえで「韓米日3国協力の側面から見ても好ましくない」と強調した(7月11日読売新聞夕刊)。

 韓国側によると、ポンペオ長官は「理解を示した」というが、米国務省の発表は、「北朝鮮の非核化での協力、日米韓3国の連携強化を確認した」と述べるにとどまっている。ポンペオ長官が、輸出規制に関して康外相の説明に「理解」を示したなどということには一切言及されていない。

 オータガス同省報道官も11日の記者会見で「発表文以上に立ち入ることはしない。米国は日韓との2国間関係、日米韓3国の関係強化のためには、あらゆることをする」と述べただけ。ステイウェル次官補(東アジア太平洋担当)はNHKのインタビューで「日韓の仲介をする考えはない」と明言した。

 韓国は外相電話協議に加え、青瓦台(大統領官邸)、外務省の高官をワシントンに派遣、米政府高官と接触させて協力を要請したという。告げ口外交もここまでもくれば徹底している。 

 他国同士の争いの尻を持ち込まれたとあっては、ポンペオ氏だけでなくほかの米高官も迷惑千万だったろう。日本政府高官のなかには「日米韓3か国の問題などにはなりえない」と冷笑する向きがあるという。


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