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2019年8月20日

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樫山幸夫 (かしやま・ゆきお)

元産經新聞論説委員長

元産經新聞論説委員長。政治部で中曽根首相番、竹下幹事長番、霞クラブ(外務省)詰め、ワシントン特派員、同支局長、外信部次長、編集局次長、正論調査室長兼論説委員、産経新聞社監査役を歴任。2度のワシントン勤務時代は、ホワイトハウス、国務省などを担当、米国の内政、外交など幅広く取材した。

拉致解決を優先

 その場合、首相にとっての当面の新たな目標は拉致問題の解決以外にない。

 思い出すのは、2019年5月4日の日米首脳電話会談後の首相発言だ。首相は、米国と緊密に連携していくなどと通り一遍の説明をした後、「私自身が金正恩と向き合わなければならないという考えだ。日本にとって大切な問題は拉致の解決だ」と述べ、日朝首脳会談を実現させて拉致解決することに強い意欲を表明した。当面、ミサイルより拉致ーとハラを固めたのかもしれない。

 拉致問題をめぐっては、安倍首相に近い北村滋内閣情報官が昨年7月と10月、ベトナムとモンゴルで北朝鮮高官と接触したと伝えられているが、この時の詳細や、その後の対話の状況は明らかにされていない。先方の担当者が失脚したため協議がストップしたという見方もなされている。

 首相が重ねて日朝首脳会談に意欲を示していることを考えれば、こうした接触が水面下で継続されていたとしても不思議ではない。

 ミサイル発射に対する安倍首相の抑制的な発言は、こうした背景を考えれば理解できるが、真意を説明できないとあってはつらいものがあろう。自民党は、首相の本音を承知のうえで、危機感を示すことで、役割り分担している可能性もある。

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