マイクロマーケットをターゲットに
もちろん、AIが適切なマーケティング文書を作成するためにはタスクの作成が必要だ。Persado社ではナラティブ:いかに顧客の生活がそれにより向上するのかの説明、エモーショナル:広告内容が「素晴らしいニュースだ」と感じ取れる潜在性、ディスクリプティブ:顧客に対するアピール、コール・トゥ・アクション:今行動すべき理由、フォーマッティング:太文字、絵文字などの利用、ポジショニング:すべての要素を最大のインパクトとして活かせる最高のアレンジ、の6つの要素をタスクとして挙げている。
AIは過去の膨大な広告文書、現在の顧客データ、現在の流行り言葉、顧客にアピールするフォーマットなどを総合的に判断し、最も顧客の心を掴む文章をそこから作成する。注目すべきはこうした広告はマクロではなくマイクロマーケットをターゲットとしている、という点だ。
街角のポスターなどではない、ネットなどを通した個人にダイレクトに届く広告である。つまりターゲットとする個人にとって最適の商品を、正しい言葉で、感情に訴えかけながら売り込むのだ。個人にメールで届く広告などがその例だという。
AIがすべての広告コピーを書き、人間は要らなくなる、というのが趣旨ではない。個人のマーケッターが集めきれない膨大なデータをAIが分析し、最適化することでマーケティングを補佐する、という考え方だ。
今はまだ文章にぎごちないところがあっても、AIの能力はこなれた表現を近い将来学び取るかもしれない。AIが書いたのか人間が書いたのか見分けのつかないコピーが今後どんどん出てくることになりそうだ。
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