アップルが実施の予定を発表して以来、多くの話題を振りまいてきたアップルによるクレジットカード、「アップルカード」がついに一般にも利用可能となった。カードそのものは8月初めから招待制で徐々に利用を開始していたが、誰もが利用できるカードとして公開された。
このアップルカード、フェイスブックが来年にも実施予定の仮想通貨Libraと並び、米国の銀行業界を脅かす存在になるのでは、とも囁かれている。アップルは世界有数の企業であり、米国の企業信頼度調査でも「最も好きなブランド」「最も信用できる企業」などで、度々1位になるなど、人気の高さは周知の通りだが、ウォールストリートの大手ゴールドマンサックスとのコンビとはいえアップルカードは単なるクレジットカードに過ぎない。それがなぜこれほどの話題と警戒感を呼び起こしているのか。
アップルがクレジットカードビジネスに乗り出すのは今回が初めてではない。自社ブランドではないが、既存のカード会社と提携してアップルマークの入ったカードを発行している。しかし今回のアップルカードはそうした提携カードとは大きく異なる。
バーチャル
まず、カードがバーチャルである、ということ。アップルカードはiPhoneに内蔵されるApple Payと連動しており、Apple Payの中の機能をタップすることでクレジットカードを表示できる。Apple Payはウォレットの中に自分のクレジットカードなどを保存し、それをタップして店舗で提示することで買い物が出来る、というもので、グーグルも同様のサービスを提供している。その中の一つとして、今回新たにアップルカードが追加されることになる。
もちろん、iPhoneを所有していない、またApple Payが利用できない店舗向けに、実際のカードも用意されている。アップルを象徴するようなチタン製の白いカードだ。通常のクレジットカードと同様にチップが内蔵されており、買い物その他に利用できる。ただしアップルによると全米の小売店舗のおよそ7割はApple Payが利用可能である、という。