イランは計算違い?
イラン指導部は最近、トランプ大統領の再選の可能性が濃厚であり、制裁で締め付けられている同国を経済的な崩壊から救うためには最終的に、トランプ氏と交渉せざるを得ないとの結論に達したと伝えられている。そのためには、イラン配下の勢力を使って軍事的な緊張を作り出す一方で、トランプ氏との交渉に応じるというシグナルを送る“二重戦略”に転換したとされる。要はトランプ氏に「イランと交渉した方が再選に有利」と思わせて交渉に引き込むことが狙いだ。
トランプ大統領は無条件でイランのロウハニ大統領との交渉に応じるという姿勢を示し、離脱した「イラン核合意」に代わる合意をまとめることに意欲を見せ、17日から始まる国連総会の期間に訪米するロウハニ大統領との会談が実現する可能性が取りざたされていた。トランプ氏は「イラン核合意」がイランに核開発の権利を認めていたのに対し、そうした権利を与えない合意に達することに自信を示している。
イランが米国の主張通り、サウジ攻撃に関与していたとすれば、「これほど攻撃がうまくいくとは想定していなかったのではないか。イランと交渉しないと、地域の安定はありえないことを示すために、小規模の損害を与えるつもりが計算違いで大打撃を与えてしまった」(ベイルート筋)との見方もある。狂ったシナリオにどのような結末が待ち構えているのか、米・イラン首脳会談が遠のいたことは確かなようである。
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