2022年8月13日(土)

Wedge REPORT

2019年9月23日

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地域とボランティアをつなぐ工夫

 全国各地から多くのボランティアが駆けつけるものの、自治体などがうまく支援活動へ派遣できていない状況も起きている。現地では「せっかく行ったのに、役所で何時間も待たされた」「『今日はいい』と返された」「ボランティアの人が支援物資の前に立っているだけだった」といった声を聞く。自治体など受け入れ側が現場で何が必要とされているか把握しきれていない状況がこのような事態を呼んでいるとみられる。

 そうした状況を克服し、ボランティアと地域住民がうまく連携して復旧作業を進めているのが館山市の富崎地区だ。房総半島の最南端に位置するこの地区もまた多くの住宅や建物が被害を受け、今なおも連日の復旧作業を必要としている。

公民館に設置されたボランティア本部に情報が集まり、作業分担する

 富崎地区の住民は災害などの際に、公民館にすべての情報を集約させることにしている。「この辺りでは昔から地域のつながりが強い。江戸と明治に大きな火事が2度あり、『火の用心』を呼びかける警護団が作られたことがきっかけ」と、区長の豊崎悦朗さん(70歳)は話す。台風上陸直後で情報のない中、近隣住民は公民館に集まった。地区の地域環境をよく知る市職員もかけつけた。「物資手配も含め、すぐに対策を立てることができた」と豊崎さんは振り返る。今では、生活で困っていることといった情報や、全国各地から駆けつけてくれたボランティア、供給物資も集まり、地区のボランティア本部となっている。ブルーシートの張り替えや物資の運搬、炊き出しの準備、がれきの撤去などどの場所でどの作業が必要なのか地域住民から情報を集め、ボランティア一人一人に作業を振り分けていく。ボランティアや作業を手伝いに来た周辺住民は手が空けば公民館へ行き、必要な作業を聞く。

 地域住民のニーズの取りまとめや作業分担はこの地区に住みNPO法人の運営も手掛けている八代健正氏が中心となっている。「復旧作業は確実に人が足りない。けど、突然知らない人が突然『手伝います』と来ても住民は怖がってしまう。わたしなら地域の人はみんな小さなころから知っている仲。紹介で行けば、安心して任してもらえる」と話す。

ボランティアと地域住民が協力して屋根にブルーシートを張る

 はがれそうな屋根の上のビニールシートを張り替えてもらっていた白岩香代子さん(74歳)は「シートを張ってもらったのはこれで3回目。被災当初にボランティア詐欺が来て、不安だったので、信頼できる人にやってもらって有り難い。病気で体調を崩している状態ので、手を借りないとどうしようもないので」と話す。

 横浜市からボランティアに来ていた稲垣可愛さん(42歳)は「地元出身で土地勘のある人と一緒の班に入れてもらったので、スムーズに動くことができた」と話す。ボランティアが何をやったら良いかわからない状態を避けるとともに、地域住民が安心して作業を任せられる状況を作り出している。

  
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