WEDGE REPORT

2019年10月2日

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60年ぶりによみがえた「旭日旗の記憶」?

 旭日旗に対し韓国から批判、反発の声が上がるようになったのは戦後60年余りが過ぎた2010年前後のことだ。日本統治時代を生きた多くの韓国人は終戦後60年余りの間、旭日旗を見ても、現在の韓国社会が示すような極端な反応を示すことはなかった。彼らは35年間の日本統治時代を経験する中で、街中で、戦場で数えきれないほどの旭日旗を毎日のように目にしながら生きてきたというのに。

 もちろん、中には日章旗や旭日旗をみる度に、嫌な記憶を連想してしまうという人も、それで不快に感じる人もいたことだろう。だが、現在の韓国人――旭日旗自体ではなく、旭日旗にほんの少し似た模様を見ただけでも腹を立て、クレームを入れる韓国人――とは異なり、日本統治時代の経験者たちは激しい反応を示すことはなかった。

 今、旭日旗に対し憤り、反発する韓国人たちの大部分は戦後世代の人たちだ。つまり、韓国社会は60年余りの間、旭日旗の存在さえも忘れて生きてきたのに、ある日突然外部からの刺激によって記憶を取り戻したのだ。まるで韓国ドラマの主人公のように。

 慰安婦の存在は当事者のプライバシー、周りからの配慮もあって韓国内で大きな話題にはなり難かったのかもしれない。しかし、慰安婦問題と違って旭日旗に対する批判は配慮も、遠慮も必要なかった話だ。なぜ韓国社会は60年間も黙っていただろうか。

 記憶喪失以外に60年にも及ぶ空白を説明できる方法があるだろうか。旭日旗に反対する韓国マスコミや市民運動家たちは多いが、私はこれまでこの60年間の空白に対する説得力のある説明をきいたことがない。しかし、ドラマなら、そして現実性には欠けるが記憶喪失という設定なら、なんとなく頷ける。

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