大坂のメンタルの強さが一段と増したことを表す話がある。お笑いコンビ「Aマッソ」が先月22日のライブ中に「(大坂選手に必要なものは)漂白剤。あの人、日焼けし過ぎやろ」と問題発言。この日のライブ会場にいた客をドン引きさせただけでなく、ネット上からも猛烈なバッシングを浴びせられる結果につながり、所属の芸能事務所は謝罪文を発表した。Aマッソのコンビも謝罪の言葉を文章形式で寄せているが、批判を沈静化させるまでには至っていない。
そうした中、当の大坂は自身のツイッターでちょうど1週間後の29日に「〝日焼けし過ぎ〟って(笑い)。メチャクチャね。知っての通り、私は資生堂アネッサのパーフェクトUVスクリーンを使っているから日焼けはしないのよ(笑いの絵文字)。」という内容の英文を発信し、その絶妙な切り返しで多方面から称賛の声が上がった。
ちなみに資生堂アネッサは大坂がCM契約を結ぶスポンサーだ。複数の米メディアも、このウィットに富んだ大坂のSNS発信をクローズアップ。米スポーツ専門局ESPNは「あらためてナオミ・オオサカの素晴らしさを再認識できる出来事」と報じ、次のように続けている。
「彼女はハイスピードで世界の頂点に立ったことで環境が激変し、一時期はそのあまりのスピード変化によって心身ともに対応できなくなってしまっていた。コーチとの契約問題が発生したことも、もちろんその大きな変化の要因に含まれる。でも、その苦しい時代を体感して乗り越えたことでメンタルは以前にも増して非常に強くなった。本来であればデリケートな問題としてとらえ、ナーバスになって塞ぎ込んでしまったとしても不思議ではない。それでも彼女はユーモアあふれる言葉で自身が平常心を保っていることを皆に知らせ、そして『笑い』も与えた。ナオミ・オオサカはとても素敵で強い、模範のような日本人女性だ」
一部の日本人の心の奥底に潜む〝闇〟
対照的に同局はAマッソの失言についても触れ、こう断罪している。
「日本のコメディアンコンビは残念ながら自分たちの軽率な失言によって日本人の品位を落としてしまったかもしれない。いかなることがあっても人種差別的な表現を笑いに変えるようなことがあってはならないからだ。決してそう信じたくはないが、今回の問題によって一部の日本人の心の奥底に潜む〝闇〟を見せつけられてしまったところもある。多くの国の代表チームが集まってプレーする東京五輪が2020年に行われるホスト国の日本は『国もしくは個人に対する差別はいかなる差別であっても、オリンピック・ムーブメントへの帰属とは相入れない』とする五輪憲章をもう一度理解し直すことも求められる」
大坂なおみの強く、そしてウィットに富んだ切り返しを時に生み出せるメンタル面を今こそ我々も見習う必要性があるかもしれない。
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