2022年8月14日(日)

中東を読み解く

2019年10月18日

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核爆弾の国外搬出急ぐ米

 ベイルートの情報筋や米紙などによると、米側が今回、ペンス副大統領まで派遣した背景には、両国関係が悪化する中、米国がトルコのインジルリク空軍基地に配備している戦術核爆弾約50発を事実上、エルドアン大統領の“人質”にされているとの懸念が強まっているためだ。

 これら核爆弾は東西冷戦が高まる1961年から、北大西洋条約機構(NATO)加盟国である同国に配備が始まった。冷戦終結後に米政府内部で、核爆弾の撤去が折に触れて検討されてきた。最近では、過激派組織「イスラム国」(IS)の台頭で、過激派に核爆弾が渡ることのリスクや、2016年のトルコのクーデター未遂事件の際、核爆弾が流出する懸念が論議されたが、国外搬出は先延ばしされてきた。

 トルコはこのところ、ロシアから最新の防空システムを購入するなどしたため米国との関係が冷却化、その上、今回の侵攻作戦をめぐる両国の対立が先鋭化したことから、国防総省やエネルギー省などが現在、本腰を入れて核兵器の搬出を検討している。しかし、エルドアン大統領がこれに反対し、国外搬出を阻止するのではないかと懸念が米政府内に高まっていた。

 エルドアン大統領自身、核保有についての意欲を隠していない。大統領は先月、トルコが核保有を禁じられているルールはおかしいと主張、「核を持っていない先進国はない」などと述べていた。トランプ大統領は17日、記者団からこの問題について聞かれ「われわれには極めて強力な空軍基地がある」と述べ、事実上、核兵器の存在を認めた。

 米紙はトランプ大統領が、核兵器の存在を肯定も否定もしないという米政策を破ったと指摘している。共和党の元大統領候補のロムニー上院議員はペンス副大統領の派遣について、「すべての馬を失った後、納屋を閉めに行く農夫のようだ」と対応のまずさを皮肉っている。

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