中東を読み解く

2019年10月3日

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 中東情勢に定評のある専門誌「ミドルイースト・アイ」によると、サウジアラビアはこのほど、軍事衝突も辞さないとしてきたイランとの関係を対話路線に方向転換した。イラクのマハディ首相が仲介した。先月の石油施設への攻撃で、原油生産の半分が停止するという緊急事態を受けた決定だが、事実ならば、イランの「戦略的勝利」(アナリスト)と言えるだろう。

(Oleksii Liskonih/getyyimages)

カショギ氏殺害事件から1年の重大決定

 サウジアラビアの反体制派ジャーナリスト、ジャマル・カショギ氏がトルコ・イスタンブールの領事館で殺害されてから10月2日で1年。サウジの今回の歴史的な決定はその節目の直前に行われた。同国を牛耳り、カショギ氏殺害を命じたと今なお批判されるムハンマド皇太子がこの決定に中心的な役割を果たしたのは疑いないところだろう。

 同誌によると、イラク首相府のアッバス・ハスナウイ氏がマハディ首相の仲介工作を確認し、サウジとイラン当局者による会談場所としてバグダッドが検討されていることを明らかにした。サウジはイランとの対話を開始する条件として、イランがイエメンなどでの活動を縮小し、サウジと戦争中のイエメンの反体制派フーシに対する支援を停止するよう求めている。

 イラン側も同様に、条件を提示しているとされるが、具体的には明らかではない。しかし、国営通信の報道によると、イラン政府スポークスマンは9月30日、サウジアラビアからロウハニ大統領に宛てたメッセージが一部の国の指導者を介して伝えられたと明らかにし、サウジが態度を変えるというなら歓迎する表明した。

 アラブ専門家は「イラクを仲介にしたサウジとイランの秘密接触が始まっているのは間違いない。軌道に乗れば、ペルシャ湾情勢が激変するかもしれない。歴史的な動きだ」と指摘している。同誌の報道に先立つ先週、イラクのマハディ首相がサウジアラビアのジッダを訪問し、ムハンマド皇太子と会談しており、この際にイランとの対話について話し合われたと見られている。

 同誌はまた、米政府も今回の調停に賛同しており、イラク首相のファリハ・アルファヤド補佐官(安全保障担当)がこの問題を米側と話し合うため訪米中、とも伝えている。ムハンマド皇太子は先月末に放映された米CBSテレビとのインタビューで「政治的な平和解決の方が軍事的な解決よりもはるかに良い」と述べ、イランとの対話路線に転換したことを示唆。これにイランのラリジャニ国会議長が歓迎する意向を示していた。

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