中東を読み解く

2019年9月19日

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 サウジアラビアの石油施設攻撃は誰が実行し、背後に黒幕はいるのか。世界経済を直撃した攻撃をめぐって謎は深まるばかりだ。イラン犯人説に傾斜するトランプ米大統領はポンペオ国務長官をサウジアラビアに派遣し、対応を急いでいるが、イランは攻撃されれば、広範囲に反撃すると警告。ペルシャ湾情勢は一段と緊迫の度を強めている。

サウジアラビア政府によって公開されたドローンとミサイルの残骸(REUTERS/AFLO)

フーシの実力をはるかに超える攻撃

 9月14日の攻撃から一段とはっきりしてきたことは、「犯行声明」を出したイエメンの反政府勢力フーシの実力では不可能な攻撃だった点だ。米国は当初から「イランによる前代未聞の攻撃」(ポンペオ氏)、「攻撃の背後にはイランがいたようだ」(トランプ大統領)とイラン犯人説を主張してきたが、被害を受けた現場の衛星写真以外に証拠らしいものを示していない。

 しかし、米紙ニューヨーク・タイムズなどが専門家を交えて検討したところによると、フーシが保有する「クッズ1」などの無人機では、これほど正確かつ大規模な攻撃を加え、しかも1000キロを超えて飛行するとことなどはほぼ無理であることが分かった。とりわけ、攻撃の精密性に関して言えば、無人機というよりも誘導ミサイルによる可能性が高い。約20発の攻撃のうち、標的を外したのはわずか1発だけだったという。

 米当局者は「無人機と巡航ミサイル双方による攻撃」と述べており、サウジの防空システムを巧みにかいくぐる周到な攻撃計画だったことが一層明白になっている。フーシはイランから無人機の組み立てや操縦の訓練を受けていたとされるものの、今回の攻撃に使われた兵器や、兵器を扱う技術的練度を持っていたとは信じられない、というのが一般的な見方だ。

 また米当局者は攻撃の発進源が南方のイエメンではなく、北方や西北西の「イランやイラク」としているが、中東専門誌はイラク南部にあるイラン支援の民兵基地から発進した無人機による攻撃と報じている。攻撃の前、クウェート上空で「小型航空機」が目撃されたこともこの分析を裏付けるものだろう。

 しかし、フーシでなければ誰が攻撃をなし得たのか。中東専門誌はイラク・ヒズボラが実行したと伝えたが、最新の無人機とミサイル、そして高度の技術力を提供できる組織が介在していなければ、単なる民兵組織ではできない相談だろう。

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