2022年8月10日(水)

Wedge REPORT

2012年3月27日

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 そこには、下請けオンリーでは、収益を上げようとすれば量をこなすしかない。一方で、アニメーターの賃金安い中国やベトナムなどへのシフトが進んでいくだろう。現状のままでは早晩限界が来るとの読みがあった。企画や出資に注力するのは、ごく自然の流れだったのである。

兵役免除でハリウッド留学も 至れり尽くせりの韓国

 そんな韓国のアニメ制作会社を後押ししているのが、政府や大学だ。

 同国は2000年、文化コンテンツ産業を21世紀の基幹産業に育てるため「文化産業育成基本法」を制定。これを受け日本の文部科学省に当たる文化観光部が、資金供給、人材育成、税制優遇、輸出支援など総合的な施策を次々と打ち出した。また文化観光部の傘下に財団法人韓国文化産業支援センター(01年、韓国文化コンテンツ振興院に名称変更)が発足した。同振興院理事には漫画・アニメ、映画、出版、教育などの業界団体会長が名を連ねている。

 文化コンテンツ産業が国家戦略に位置づけられたことにより、たとえばアニメでは全国130を超える大学・専門学校(既設を含む)にアニメ学科が設けられた。優秀な学生は、場合によっては兵役免除で米国ハリウッドなどへの留学も許可されるという。制作費融資では、企画のみで申請が出来る。制作費の80%までを国庫が負担するパイロット番組支援制度もある。担保能力のない制作者には、制作費だけではなく海外見本市参加などの流通支援まで行う。まさに至れり尽くせりだ。

方向性見えない日本のコンテンツ流通

 ジャパニメーションの将来はどうなるのか。

 「重要なのは“どう作るか”ではなく、“何を作るか”。韓国は確かにCG(コンピュータ・グラフィックス)アニメの作り方はうまい。デジタルやCGは一定の時間をかけノウハウを身につければ製作できるんです。問題は、どんなキャラクターを使い、何を作るかです。シナリオや原画では、日本やアメリカに一日の長があります。日本にはマンガ文化の強さや手づくりの良さがあり、米国にはディズニー以来の蓄積があります」

 老舗アニメ制作会社のトップは自信満々だったが、テレビ・劇場用ともアニメ制作の芽は萎むばかり。遅ればせながら日本も海外を睨んだコンテンツ流通に力を入れ始めているが、確たる方向性は見えてこない。

 

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