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2019年10月29日

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樫山幸夫 (かしやま・ゆきお)

元産經新聞論説委員長

元産經新聞論説委員長。政治部で中曽根首相番、竹下幹事長番、霞クラブ(外務省)詰め、ワシントン特派員、同支局長、外信部次長、編集局次長、正論調査室長兼論説委員、産経新聞社監査役を歴任。2度のワシントン勤務時代は、ホワイトハウス、国務省などを担当、米国の内政、外交など幅広く取材した。

〝大物大使〟へのはしゃぎぶり

 米国の駐日大使が交代するたびに、くりかえされる日本国内の反応も米国を呆れさせている。

 このポストは1970年代末から、大物が次々に派遣されてきた。1977(昭和52)年、日本でもよくその名を知られたマイク・マンスフィールド元民主党上院院内総務の着任をはじめ、ウォルター・モンデール元副大統領、トム・フォーリー元下院議長、最近ではケネディ元大統領の長女、キャロライン・ケネディ女史らだ。これだけ大物が送り込まれる国はほかにあるまい。

 こうした人事が決まるたびに日本のメディアは「日本重視の表れ」などと報じる。〝ブランド〟を好む日本政府、国民の心情を米国はよく知っている。

 重要なことは適材かどうかということであって、有名人であるかどうかではない。フォリー氏の大使起用が決まった時、国務省幹部が筆者に対して「日本人はハッピーだろう」とからかい半分で語りかけてきた。「日本には名の知れた人物を派遣しておけばいい」と米国が考えているとしたら、日本に責任があるというべきだろう。

異常なトランプ厚遇が物議

 安倍首相はトランプ大統領との良好な関係を誇っているが、喜んでばかりでいいというものではない。

 2016(平成28)年11月の米大統領選でトランプ氏が当選を決めたわずか9日後、安倍首相はわざわざニューヨークのトランプタワーに駆けつけ、会談した。人種差別、性差別ともいえる発言を繰り返すトランプ氏の当選に各国首脳が当惑、様子を見ているときだっただけに、氏にとってはうれしいことだったろう。

 その後の両者のかたい〝友情〟関係は周知のとおり。今年5月、トランプ大統領が国賓訪問した際の厚遇ぶりは日本国内で物議をかもした。

 大相撲観戦の際、ほかの観客の迷惑を顧みず、土俵近くに椅子を持ち込んで升席をとりはらってしまったことなどは異常だった。

 ニューヨーク・タイムズは「トランプ訪日に安倍、へつらいを重ねる」という見出しで「報われるのか疑問視されている」と報じた。

 たしかにトランプ氏の発言など見る限り、本当に信頼できるのかという疑念を抱かざるをえない。いざというとき不本意な結果をまねくことになれば、うわべだけの親しい関係に幻惑された結果として深刻な事態になるだろうだろう。

 各国から、日本の首相は、トランプ大統領と同じ価値観を持っているようだという憶測をも生むという恐れもあろう。

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