しかし、土地が安くなることは良いことである。シャッター通りの地価が安くなれば、それに見合う商売を考える人が店を出す。小さな子供のいない世帯向けのマンションが建ち、人口が戻るかもしれない。アメリカでは地方都市で1億円出せば本当の豪邸になるが、日本ではそうならない(拙著『日本はなぜ貧しい人が多いのか』第1章1・新潮社、09年)。地方の土地も高いからである。しかし、住宅地が安くなれば、都会で狭い住宅に暮らすことがバカらしくなって、地方で豪邸に暮らそうという人も出てくるだろう。地方の地価は下がるが、その上の経済活動は盛んになる。
財務省の貸出計画は、地方活性化の妨げとなる。それは、政府が、すでにそこに住んでいる人の利益(私は架空の利益にすぎないと思うのだが)のみを考え、未来に得られるであろう利益を考えないからだ。
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