2023年1月30日(月)

WEDGE REPORT

2019年12月22日

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樫山幸夫 (かしやま・ゆきお)

元産經新聞論説委員長

元産經新聞論説委員長。政治部で中曽根首相番、竹下幹事長番、霞クラブ(外務省)詰め、ワシントン特派員、同支局長、外信部次長、編集局次長、正論調査室長兼論説委員、産経新聞社監査役を歴任。2度のワシントン勤務時代は、ホワイトハウス、国務省などを担当、米国の内政、外交など幅広く取材した。

深刻な問題はらむトランプ訴因

 トランプ大統領に対する訴追条項は、来年の大統領選での強敵、バイデン前副大統領とその次男が関係するウクライナのエネルギー企業のスキャンダルを捜査するよう、同国の大統領に強要した「権力の乱用」。第2は、この疑惑を調査していた議会が、政府関係者の証人喚問や書類提出を求めたことについて拒否するよう命じた「議会に対する妨害」。

 大統領の実際の行動が、これら訴追条項をの要件を満たすかについては、賛否さまざまな議論があるのは報道されている通りだ。弾劾裁判が始まれば下院の訴追委員と大統領側との間で証人喚問などを通じてはげしい攻防が展開されることになろう。

 ただ大統領の訴追条項に関して重要なことは、有罪無罪はともかくとして、個人的な非行などとは次元の全く異なる深刻な問題であることだ。

 クリントン大統領のケースは大陪審(犯罪被疑者の起訴、不起訴を決める陪審制度)で虚偽の供述をした「偽証」と不倫相手に偽証を強要した「司法妨害」だった。司法制度をゆるがす深刻な問題であったが、発端は不倫という個人的なスキャンダルに過ぎなかった。

 トランプ氏のケースは、大統領選を自らに有利に導くよう外国勢力を利用した「国家安全保障にかかわる」(ペロシ議長)問題であり、大統領選にからむ民主党本部侵入事件が発端となったニクソン氏のウォーター・ゲート事件と軌を一にする。ウォーター・ゲート事件も選挙妨害という民主主義の根幹にかかわる問題だった。

 弾劾裁判が行われる上院は共和党が多数を占めるため、大統領解任に必要な3分の2の賛成を得ることは困難視されている。しかし、「新事実が判明したら流れが変わるかもしれない」(ニクソン氏の弾劾調査にかかわったエリザべス・ホルツマン元下院議員、12月20日づけ読売新聞)という指摘など、心に留めておくべきだろう。

  
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