- トランプ大統領の弾劾を審議する公聴会が始まる
- 避難されるもトランプは「でっち上げ」と意に介さず
- トランプへの支持率も横ばい
- 一方で、民主党候補バイデンは、ウォーレンに支持率で並ばれる
- 急進左派を避けるため、ヒラリー・クリントンを含む第三の候補擁立の声も
- 結局、トランプが弾劾される可能性は低い
〝ウクライナ疑惑〟にからんでトランプ大統領の弾劾を審議する公聴会が先週、米下院で始まった。これまでのところ、大統領弾劾に直接結びつく証言は得られていない。
公聴会は今後も続くが、この帰趨とは別に、この疑惑によって、1年足らずに迫った米大統領選の構図は大きく変わった。
疑惑の〝被害者〟である民主党最有力候補に陰りがみえ、2番手が躍進したところで、混戦を見かねた第3の有力候補が出馬の構えを見せはじめた。
大統領の支持率は自身の疑惑にもかかわらず〝低空飛行〟ながら安定、張本人よりも対立候補が打撃を被るという奇妙な展開になっている。
国務省高官、大統領批判の証言
11月13日に下院情報委員会で行われた公聴会ではウィリアム・テーラー駐ウクライナ代理大使、ジョージ・ケント国務次官補代理が証言した。
テーラー氏は大使館職員の話として、トランプ大統領が2019年7月26日、ソンドランド駐欧州連合(EU)大使に電話で、バイデン前副大統領への捜査要請に対するウクライナの出方について質問したと証言。ソンドランド大使は「ウクライナは捜査を進める用意がある」と応じたという。
7月26日は、トランプ氏がウクライナのゼレンスキー大統領に電話で、軍事支援の見返りとして、民主党の有力候補、ジョー・バイデン前副大統領について捜査するよう圧力をかけた翌日。ソンドランド大使は、大統領はウクライナ情勢よりもバイデン氏に関する調査に関心を持っているようだったと館員に語った。
ケント氏は「政敵についての政治的な調査を外国に要請すべきではない」とトランプ大統領の行動を非難した。
トランプ大統領は強気崩さず
これらはこれまで、非公開の場で行われた証言の内容を超えるものではなく、トランプ大統領は証言初日、ホワイトハウスで行われたトルコのエルドアン大統領との会談の席上、「証言は見ていない。でっち上げは許されるべきだはない」と気炎を上げた。
大統領の一貫した強気の背景には、安定した支持率がある。今月中旬以降の最新7世論調査を見ると支持が40%-47%で平均43.9%、不支持は52%-57%。平均54‣3%(米リアル・クリアー・ポリティクス)にのぼっているが、支持率は就任以来ほぼ一定、根強い支持基盤に揺るぎがないことを示している。