WEDGE REPORT

2019年11月17日

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樫山幸夫 (かしやま・ゆきお)

元産經新聞論説委員長

元産經新聞論説委員長。政治部で中曽根首相番、竹下幹事長番、霞クラブ(外務省)詰め、ワシントン特派員、同支局長、外信部次長、編集局次長、正論調査室長兼論説委員、産経新聞社監査役を歴任。2度のワシントン勤務時代は、ホワイトハウス、国務省などを担当、米国の内政、外交など幅広く取材した。

低い弾劾成立の可能性

 公聴会など下院での疑惑解明への調査はなお続くが、トランプ大統領に対する弾劾が成立する可能性は、すでに論じられているように、低いというべきだ。

 弾劾は、下院が過半数で訴追を決め、上院で弾劾裁判が行われる。最高裁長官が裁判長、100人の上院議員全員が陪審員となり、3分の2の賛成で有罪となれば大統領は職を失う。しかし、共和党が多数の下院が訴追を決めても、上院は共和党が53議席と過半数を占めていることから、〝造反〟がでたとしても、3分の2が賛成する事態には至らないとみられている。

 今回の疑惑の発端は、トランプ大統領が7月にウクライナのゼレンスキー大統領と電話協議した際、軍事支援を見返りに、同国のエネルギー企業「ブリスマ」の役員をしていたバイデン氏の次男について捜査するよう要求したことだった。

 ブリスマのトップは、横領などの疑惑が取りざたされ、ウクライナの検察が捜査を進めていたが、バイデン氏が副大統領当時の2016年、同国を訪問した際、検事総長更迭をウクライナ側に強く要求した。

 トランプ大統領がゼレンスキー大統領に調査を要求したのは、こうしたバイデン氏の行動や次男の関与についてだったが、バイデン氏に政治的打撃を与えるための捜査要請なら、選挙戦に外国の影響力を利用することを禁じた連邦法に違反するため、民主党が問題視、下院で弾劾調査を決議していた。

 バイデン氏は、「私や家族が汚職にかかわったことはない。これほど錯乱した大統領は見たことがない」と潔白を主張、大統領の弾劾を強く支持しているが、氏のウクライナへの要請が、次男への捜査波及を防ぐ目的だったのではないかとの疑念は少なくないない。ウクライナ疑惑の追及が続く限り、〝バイデン疑惑〟も議論され続け、氏にとっては苦しい選挙戦を強いられるだろう。

 トランプ弾劾が不発に終わった場合、政治を混乱させたとして民主党への批判、反発が一気に強まる可能性も否定できない。

 「最後に笑うのはトランプ氏(11月13日付産経新聞)という予測もああながち的外れともいえないかもしれない。  

  
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