中東を読み解く

2020年1月3日

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悪魔か、英雄か

 ソレイマニ将軍は米国にとっては「悪魔のように憎い男」(専門家)だが、イランにとってはスーパーヒーローだった。イランを代表する保守強硬派であり、戦略的な理論家。最高指導者ハメネイ師の信頼が厚く、同師と話をできるパイプを持つ数少ない人間の1人だった。

将軍が知られるところとなったのは1980年代のイラン・イラク戦争の時だ。将校として、イランの偵察部隊を率いてイラク側に奥深く侵入、敵の動きを探知するなど成果を挙げ、その勇敢な行動が称賛された。

 90年代にコッズの司令官となってからは、イランの対外戦略や秘密作戦を取り仕切り、特にイラクについては将軍自身「対イラク政策は私だけが権限を握っている」と漏らしていたほど影響力を発揮した。米国のイラク戦争では、将軍がイラクのシーア派教徒による民兵組織を次々に結成させ、対米攻撃を激化した。

 ソレイマニ将軍の役割は「統合参謀本部議長であり、CIA(米中央情報局)長官であり、裏の外相。事実上、イランではハメネイ師に次ぐナンバーツーの実力者」(米紙)と評されるほどだった。行動は神出鬼没で、テヘランからバグダッド、ダマスカスなど風のように現れては消えた。

 トランプ大統領が2018年7月、ロウハニ・イラン大統領を恫喝した時、将軍は「お前に応えるのは(ロウハニ)大統領の威厳にふさわしくない。私が兵士として対応しよう」「われわれはお前がイメージできないほど近くにいる。自分たちには準備ができている。われわれはこの地域を知り尽くしてしている」などと挑発していた。

  
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