レバノンで余生を過ごすのか?
最後に残される問題は1つ。ゴーン氏がレバノンに閉じ込められたことだ。一部の報道や評論家は、「ゴーン氏はこれから、レバノンという1つの国で暮らし、余生を過ごす」と捉えているようだが、果たしてそうなるのか。彼は野心的な事業家である。必ず世界に戻ってくる。もっと大きくなって舞い戻ってくるかもしれない。
日産を助けたゴーン氏には、これから、レバノンという小国の再建に取り組むことが1つの選択肢になる。今のレバノンは深刻な財政・金融危機に陥っており、宗派の利権争いに明け暮れている。ゴーン氏にとってこれ以上ない「事業素材」である。彼は政治家に転身することが可能であり、その土壌もできている。もしや、氏がレバノン大統領になるという野心に燃えているかもしれない。
ゴーン氏が描いた勝利のビジョン。その実現につなげるためにも、日本からの脱出が唯一の手段だった。「逃げるが勝ち」、そこが本質ではないだろうか。
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