2022年12月6日(火)

立花聡の「世界ビジネス見聞録」

2020年1月9日

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立花 聡 (たちばな・さとし)

エリス・コンサルティング代表・法学博士

1964年生まれ。早稲田大学理工学部卒。LIXIL(当時トステム)東京本社勤務を経て、英ロイター通信社に入社。1994年から6年間、ロイター中国・東アジア日系市場統括マネージャーとして、上海と香港に駐在。2000年ロイター退職後、エリス・コンサルティングを創設、代表兼首席コンサルタントを務め、現在に至る。法学博士、経営学修士(MBA)。早稲田大学トランスナショナルHRM研究所招聘研究員。

 

日本の空港はザルのようなものだ

 問題はほぼ露呈した――。

 受託手荷物検査機能のチェックインカウンター外部設置という保安体制には、致命的な安全リスクがある。保安警備管理業務を裏付ける法的根拠(実体)が十分に整備されておらず、標識などの告知義務(手続)も果たされていない。このため、保安警備機能の実効性を担保する基盤が脆弱で、説得力も強制力も伴わない。頼りなく実効性が著しく欠如している。

 総じて、善良な市民の自覚や自律を前提にした「勧告・誘導」にとどまり、悪質なテロや犯罪が想定されていない。口々に空虚な「テロ対策上」を唱えつつも、実効性ある対策ができていない。いってみれば本物の犯罪者にはいくらでも抜け道がある。

 保安警備会社の運営体制上の不合理性・非効率性が目立ち、硬直化された体制がテロ対策の立案や実施に障害をきたしかねない。警察官も含めて現場スタッフの事なかれ主義、問題のもみ消し、自分の担当守備範囲さえよければという自己保身的な印象が色濃く残る。

 この話があって3年以上経ったが、直近A空港で国際線を利用した友人に確認すると、「外付け」荷物保安検査制度は何ら変化もなく、そのまま健在だという。さらに調べてみると、日本国内ではこれはA空港に限った話ではないことも分かった。3年前のこの出来事、A空港の保安現場スタッフや警察官は果たして上層部に報告したのだろうか。私はこの際、国土交通省と国家安全委員会・警察庁にもこれを報告し、早急な改善を求めたいと考える。

 ゴーン氏の海外逃亡について、諸説があるなか、地方空港に抜け道があると狙われたと報じられている。私がふと思い出したのは自身のこの体験だったが、地方空港だけの話ではない。たとえば、日本国内線の搭乗手続は未だに、写真付きの身分証明書チェックなしで行われている。世界的にも類を見ない危ない空港になっている。偽名でも何でも飛行機に乗れてしまうのだ。因みに、私が住んでいるマレーシアの国内線では、チェックイン手続と搭乗口で二度の身分証明書照合が行われている。

 世界の常識と日本の非常識というが、国家や国民の安全にかかわるところの非常識はもはや容認される余地がない。一刻も早く是正してほしい。

  
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