「日本共産党からの香港民主運動への支援に感謝する」。11月28日夜、香港の中心部・中環で行われた、米「香港人権・民主主義法」の成立に感謝する大規模市民集会で発表された感謝リスト。日本関係者のなかでも、特に「日本共産党」の名が挙げられた。一瞬、耳を疑った……。
米国では、議会上下両院がほぼ全会一致で「香港人権・民主主義法」を可決し、ついにトランプ大統領は11月27日法案に署名し、同法が成立した(参照:『「香港人権法案」という宣戦布告、米中は「臨戦状態」へ突入』)。
米国と正反対の姿勢を示したのは日本。米国同様の立法どころか、安倍自民党政権は香港問題に向き合うことすら避けてきた。それだけでなく、野党も与党攻撃の好機を放棄したかのように目をそらしてきた。日本国内では、香港の人々との連帯を呼び掛ける声が一部あるものの、政権は習近平氏の国賓来訪に熱心であっても、香港問題に積極的に反応していない。むしろ、習氏の来訪があるから、香港問題を避けているといってもいいだろう。
そうしたなかで、異色の存在として際立ったのは日本共産党。11月14日 日本共産党は「香港での弾圧の即時中止を求める」声明を発表した。声明の中では、香港警察による弾圧を「言語道断の野蛮な暴挙」「絶対に容認できない」としたうえで、「弾圧強化が中国の最高指導部の承認と指導のもとに行われていることである」と断言し、「今日の香港における弾圧の根本的責任は、中国政府とその政権党にあることは、明らかである。その対応と行動は、民主主義と人権を何よりも尊重すべき社会主義とは全く無縁のものといわなければならない」と、中国共産党を痛烈に批判した。
声明だけでは足りない。11月18日。日本共産党の田川実書記局員・国際委員会事務局長は、都内の中国大使館を訪れ、同大使館の倪健公使参事官に、第28回党大会への綱領一部改定提案報告を手渡し、(1)香港での弾圧の中止、(2)ウイグルにおける人権抑圧の中止、(3)尖閣諸島の日本の領海における、中国公船の侵入など、他国が実効支配している地域に対し力で現状変更を迫る試みの中止を求める立場を、中国政府と中国共産党の指導部に伝えるよう要請した。
本来なら、政府自民党がやるべきことだった。それが野党のしかも、共産党に役を奪われてしまったのである。ついに感謝祭の日に、世界が注視するなか、米国国歌が合唱される香港の市民大集会上で、日本共産党は名を挙げられ、香港市民から感謝された。滑稽どころか、常識を超えているようにも思えた。