Netflix、Amazon Primeにどう挑むのか?
また、モバイルデバイスの特徴を活かし、同社が特許申請している技術がTurnstyleだ。Turnstyleとはスマホを縦にしても横にしてもフルスクリーン画像が見られる、というもの。従来のビデオサービスは、横の場合はフルスクリーンだが縦にすると画面が小さくなる。しかしTurnstyleでは映像の中心にフォーカスを置いたまま、縦画面でもフルスクリーンとなる。
これを可能にするためには、製作段階から細心の注意が払われ、縦にした時に人物の顔が切れない、視聴者の目線の中心となるものがしっかりと映し出される、という工夫が凝らされている。この制作側と技術側が最初から共同作業を行い、スマホ視聴に最適化した映像を生み出す、というのもQuibiの強みだ。
その他、スマホの特徴を活かし、登場人物が電話をかけるシーンでは縦画面で電話のアイコンが出て実際に電話をかけているような臨場感を味わえる、あるいはインスタグラムなどでメッセージを送信するシーンが現れる(横画面では通常ムービー)など、プラットホームの機能をビデオの中で最大限に利用する工夫も行われている。しかも縦画面では電話画面であるのに、横画面では例えば車の中なら車載コミュニケーションシステムにより電話が鳴っていることが表現される、など細かな表現にも注目だ。
Quibiは広告なしのバージョンが月7.99ドル、広告ありが4.99ドルで提供される。ビデオストリーミングサービスとしては平均を下回る価格だ。しかしビデオストリーミングにはNetflix、Amazon Primeという巨人がすでに存在し、ディズニー+など新規参入も多い。この中でショートビデオに特化し、新たなテクノロジーで勝負するQuibiが食い込んでいくためには、5Gを利用したインタラクティブARVR、3Dなどプラットホームならではの新しい映像体験を提供していく必要があるだろう。
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