2024年12月4日(水)

From LA

2020年1月11日

 今年のCESで、アマゾンが自動車関連の企業が集まったコンベンションセンター・ノースホールにブースを出展した。なぜアマゾンが車のセクションに? という疑問を持ちながらブースを訪れると、そこに置かれていたのはRivian社のEVピックアップトラックだった。

 Rivianはミシガン州の新興EVメーカーで、EVのピックアップトラックとSUVを製造。新興企業ながら成長が著しく、同社のEV用プラットホームはフォードに採用されることが決定している。またアマゾンは同社にEVのデリバリーバンを発注した。

アマゾンのデリバリーバン

 その提携関係からなのか、今回アマゾンはあえて自動車のセクションに、Rivianの車と共に登場。同時にアーバンモビリティのアイデアを示す様々なデバイスも紹介した。注目はEV用の家庭用充電機器で、テスラが提供するようなウォールユニットを展示していた。

「新しい時代の車の販売」

アマゾンのブース

 また、アマゾンは今後自動車販売にも乗り出す意欲があるのか、「新しい時代の車の販売」として、アプリで色や好みのスペックなどを指定、購入した車がディーラーを通さずに直接自宅にデリバリーされる、というシステムを提唱していた。アマゾンアプリでRivianの車が買えるようになるのかもしれない。

 このほか電動自転車も展示されており、デリバリーバンからEV、そしてラストマイルソリューションの自転車まで、モビリティという分野に高い関心を抱いているのは明らかだ。

 注目すべきは、コンセプトである、としながらブース内に車のコックピットのシミュレーターまで設置されていた、という点だ。車のダッシュボード部分にナビゲーションや計器類などがデジタルで表示され、もちろんアマゾンプライムを使って車の車載コミュニケーションシステムを使って買い物も出来れば家のスマートデバイスとつないでIoTも出来る。多くの企業が乗り出しているコネクティビティにアマゾンも本格的に参入する意図が見える。

 エコーなどのハブをいち早く販売し、スマート・ハブとして業界をリードしてきたアマゾンだけに、車と連動してのIoTにも有利な立場にあるように見える。しかし、ボイスコマンドが中心でスクリーンのインターフェイスに注力して来なかったが故の欠点も見えた。

 シミュレーターのダッシュボード画面は、例えばグーグルやアップル、テスラなどが提供している画面と比べると魅力的に映らないのだ。アマゾンはアプリは持っているがOSシステムは持たない。そのため、ユーザーの立場で見ると馴染みのない、使いにくそうな画面に見えてしまうのである。

 これがアンドロイドやiOSであれば、人々は日常的にスマホあるいはPC画面で操作しているので、本能的に使い方を把握している。このアイコンを押せばこういうサービスが受けられる、と理解している。しかしアマゾンの場合は一からこうしたシステムを作ることになる。

 アマゾンはキンドルのような、これまでになかったデバイスを作り出すことに成功してきた。しかしキンドルは一時的に流行したが、スマホが登場すれば同じような機能をスマホ上で行うことが出来るため、現在ではほとんど使われることがない。キンドルに独自のOSを組み込んだものを作っていれば、現在のスマホの状況も異なっていたかもしれない。


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