Wedge REPORT

2020年1月27日

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ビジネスマンとしての本田は成功者へ

 良い悪いは別にして本田の注目度は相変わらず高い。とはいえ、世間からの風当たりは以前に比べて明らかに厳しさを増している。ボタフォゴからのオファーに関しても、好意的にとらえている人が大勢を占めているわけではない。ネット上でも本田の言動をディスっているユーザーがかなり目立つ。

 それはそうだろう。昨年11月に本田はオランダ1部のフィテッセと契約したもののロシア・CSKAモスクワ時代の恩師でもあったレオニー・スルツキ監督が解任され、追随するようにして12月末に退団。スルツキ監督の後ろ盾がなければチームのポジション争いで生き残れないと考え、さっさと逃げ出したに違いない――。そう思われても仕方がないような退団劇で多くの人たちが愛想を尽かしてしまった。残念だが、それが今のプレーヤー本田への真っ当な評価であろう。

 ボタフォゴの本田獲得についても戦力補強というより広告塔としての側面のほうが大きいと見る向きも少なくない。数年前からボタフォゴは財政難に苦しみ、現時点でもクラブ運営は綱渡りを強いられている。そうした中で本田をチームに加えることができれば、日本の放送局からの放映権料や日本企業のスポンサーとの契約料、さらに根強い日本人の本田ファンが興味を示すであろうレプリカユニホームなどのグッズ収入も見込め〝ジャパンマネー〟によってV字回復につながると踏んでいるのは容易に想像がつく。ブラジルのサッカー事情を知る者なら、このシナリオは自明の理だ。

 本田を特集した前出のブラジルメディアの中にはボタフォゴの日本人MF獲得には戦力補強として懐疑的な目を向けている媒体も多い。本田の33歳という年齢面もネックとなっており、ボタフォゴが狙う第一希望はエクアドル代表の24歳MFガブリエウ・コルテスとの報道も現地では飛び交う。つまり第二希望の本田は〝保険〟というわけである。

 先日は報道陣を前に「職業チャレンジャー」を自称。何となく自虐的にも聞こえる肩書きを口にしたのは、あえて開き直ったところを見せて強がったのかもしれない。

 それにプレーヤーとしての評価はがた落ちだが、実を言えばビジネスマンとしての本田は成功者への階段を上りつつあるという側面もある。企業投資家のサイドビジネスが絶好調で、サッカー界よりも兜町界隈のほうがその名を轟かせていると言えるのかもしれない。個人投資会社のファンドを設立し、着実に利益を上げていることは経済界でも知られている話だ。

 加えて選手としては無所属になっていても「二足のわらじ」でサッカー・カンボジア代表チームの実質的監督を務めていることを考えれば、本田が多忙な日々を過ごしていることに変わりはない。先日も自身がオーナーとして立ち上げたクラブ「One Tokyo」を運営しながら、現役選手も続けていく方向性をあらためて強調。

 さまざまなビジネスに関わる「職業チャレンジャー」が、その現役選手として次の移籍先とともにラストターゲットとしているのがオーバーエージ(OA)枠での東京五輪出場だ。

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