Wedge REPORT

2020年1月13日

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 雪辱を果たした。大相撲初場所が12日、東京・両国国技館で初日を迎え、横綱白鵬は小結大栄翔を寄り切りで下し、白星発進となった。43回目の優勝を果たした昨年11月場所で唯一黒星を喫した相手だが、右上手で左四つになると出し投げから体勢を崩させて一気に寄り切った。

(Martin Leitch/gettyimages)

 怒涛の攻めと圧倒的な強さ。白鵬の完勝に場内は大きく沸いていた。しかしながら取組を視察していた横綱審議委員会の面々はきっと腸が煮えくり返っていただろう。先場所後、横審の面々は白鵬のかち上げや張り差しに苦言を呈していたからだ。それでも白鵬はこの日、まったくためらう様子もなく立ち合いから強烈な張り差しを大栄翔に見舞って厳しい相撲を貫いた。

 支度部屋に戻った白鵬は報道陣に張り差しの狙いについて問われると「(張り差しから)左四つで組み止めようとね」。そして「(大栄翔に)リベンジできた。2020年の初白星で気分がいいね」とも胸を張った。

 先場所、結果として辛酸を舐めさせられた際、不発に終わったかち上げは立ち合いで使わなかった。それならばと選択したのが張り差しだった。どちらにしても物議を醸している取り口だが、別に文句を言われる筋合などないだろう。反則技でもないのだから、堂々と駆使すればいい。

 だからこそ白鵬は横審の目など気にすることもなく、いつも通りの厳しい攻めを見せ、先場所の借りをきっちりお返ししただけのことである。いや、もしかしたらワーワーとイチャモンばかりつける反白鵬派の人たちにあえて見せつけるためにかち上げと同様、どうせ「汚い」などと文句をつけるであろう張り差しを使ったのかもしれない。

 案の定、ネット上でも初日白星スタートの白鵬に対し〝平常運転〟のごとく毎度のバッシングが沸き起こっている。その中には「相手も白鵬と同じようにかち上げや張り差しをお見舞いしてやればいい」というような内容の書き込みもあった。

 ただ無作為に白鵬を叩くための主張としては賛同できないが、その提言自体には同意できる。白鵬と対戦する相手の多くは飲み込まれてしまい、自分の相撲を取れないまま負けてしまう。それならばかち上げや張り差しを逆に食らわせるぐらいの強い気持ちで、無双横綱に自分が必ず土をつけてやるという気概を持ってほしい。心底、そのように思う。 

 ちなみに恒例行事のように繰り返されている白鵬バッシングに筆者は正直、辟易している。こう言うと反白鵬の人たちから批判が沸き起こるだろうが、一向に構わない。裏で起こっている事実には触れず、万人受けを狙って白鵬叩きに奔走することのほうがよっぽど危険だからだ。先場所、横審が荒々しい取り口に「品がない」「見苦しい」などと苦言を呈していたのも茶番である。そもそも以前から明確なルールもないグレーゾーンを日本相撲協会の諮問機関がわざわざ掘り起こして「何も分かっていない白鵬は悪い」と決めつけ、世間に印象付けてしまうようなことこそ「品がなく見苦しい」と考える。

 そんなに文句があるならば諮問機関の権力を行使し、かち上げや張り差しを明確にルールで禁止するように協会へもっと積極的に働きかけ、行動を起こしていくべきだ。それでも実際のところルールを犯していないから現状では白鵬を止められない。それが証拠に外野からメディアを使い、四の五の文句をつけるだけだ。おそらく横審の本音としては長らく頂点に君臨し続けている無双横綱の足を引っ張り、モンゴル出身力士ではなく何とか日本人横綱の時代を築き上げたいのであろう。だから、その苦肉の策として「白鵬=悪の権化」という〝印象操作〟を乱発しているとしか見えない。

 ただ、これは一応功を奏している格好と言えるだろう。近年、白鵬が右ひじに巻いているサポーターについても「相手に見舞う〝エルボー〟の威力を倍増させるため、こすらせるなどして負傷させるためである」「実は〝凶器〟が入っている」などと、とんでもないフェイクニュースがネット上や一部メディアによって広まり、まことしやかに浸透しつつあるのもその一例だ。

 力士たちと接している〝本物〟の大相撲関係者や、まともに現場で取材しているメディアならば大半が白鵬のサポーターに関して「古傷となっている右ひじのケガを予防するためのもので、加齢も伴って装着するようになった」という正しい認識を持っている。いまさら、くどくどとそんな当たり前のことをここで説明するのも実にバカバカしい限りだ。

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