Wedge REPORT

2019年12月23日

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 拍子抜けするほど〝無風〟だ。サッカー日本代表・森保一監督の去就についてである。

 今月18日に韓国・釜山で行われたサッカー・E―1選手権の最終戦で日本代表は韓国代表に0―1で完敗。スコアだけ見れば確かに僅差だが、試合内容ではその差が明らかで韓国の前にほぼ何もできず屈した。正直に言って「惨敗」である。引き分け以上で2013年大会以来2回目の優勝が決まる有利な状況だったものの、結局は相手の韓国に3大会連続5度目の優勝を奪われる屈辱の結末となった。

( REUTERS/AFLO)

 海外組を招集せずJリーグのメンバーで臨んだ。しかし韓国も欧州組を除く国内のKリーグ、そして日本のJリーグでプレーするメンバー構成。ベストメンバーではないという条件は同じだ。森保監督は「選手も個々のケアをする中で強度が足りず、相手に上回られたのかなと思う」と敗戦の弁を述べていたが、これも苦しい言い訳である。

 韓国のパウロ・ベント監督が戦前に「むしろ日本のほうが有利」と皮肉を込めながら口にしていたように、第2戦から韓国は日本よりも1日少ない中2日で臨んでいた。そういう有利な状況であったにもかかわらず森保監督の敗因分析を鵜呑みにすれば、今回選出した日本代表のメンバーが要は韓国代表よりもタフさに欠けていたということである。こんな的外れなことを平然と言い切ってしまう指揮官にA代表、そして来年の東京五輪でもU―22代表との兼任監督を本当に任せてしまっていいのだろうか。そんな不安感を老婆心ながら覚えている。

 もうすでに屈辱の敗戦から5日ほど経過しているので、試合内容に関する詳細は割愛させていただく。ただ、日本代表の韓国戦に関する有識者の批評はほぼ一貫して厳しいものだった。全くもって同感である。相手のベント監督が日本を戦前から丸裸にし〝完封〟した点とは対照的に森保監督の戦術から韓国をリサーチした足跡はまるで見出せなかった。

 この試合で3バックの右センターバックを務めていたDF畠中慎之輔(横浜Fマリノス)がメディアの取材に「前半やっているときはどうすればいいだろうと困った感じもあった」と正直な気持ちを打ち明けていた。とても情けない言葉だが、裏を返せばこんなセリフを代表選手に吐露させてしまう森保監督のベンチワークにも問題があると言わざるを得ない。

 この「惨敗」によって森保監督の解任を世に問う記事が噴出しても、いいような気がした。ところが実際のところ一部のサッカー専門誌がネット上で舌鋒鋭く斬り込んだぐらいで、大半のメディアは不可解なほどに沈黙していた。ネット上の反応を見る限り、ファンからも森保監督の手腕に限界を感じて解任を訴える声が明らかに目立っていたはずなのにとても不思議だ。

 ここまで森保監督は世間をうならせるようなインパクトを残せていない。2018年のロシアW杯で日本代表が決勝トーナメント進出でベスト16入りを果たし、熱狂の渦に巻き込んでから1年半が経過。そのロシアW杯終了後から新たに船出した森保ジャパンは今年1~2月のアジアカップで準優勝、6月のコパ・アメリカでグループステージ敗退、そして今回のE―1選手権では準優勝という成績で2020年の3つの大会を終えた。2つの大会で準優勝を飾っているとはいえ、あくまでもアジアレベル。一歩も二歩も引いて批評する必要性がある。

 しかも今年9月から始まった2022カタールW杯アジア2次予選では格下相手に4連勝中とはいえ、11月19日の親善試合・ベネゼエラ戦(吹田)では1―4で大敗。ちなみに2日前の11月17日にもU―22日本代表対U―22コロンビア代表の試合が行われ、A代表兼任の森保監督にとっては東京五輪世代チームの初采配となったものの多くの課題を露呈させて0―2で完敗を喫している。

 人気のバロメーターとなるテレビ中継の視聴率も今や森保ジャパンの試合は10%を切ることが当たり前となっており、E―1選手権の放送権を持っていたフジテレビスタッフも1ケタ台連発の数字に頭を抱え込んでいた。

 22日現在で18日放送の日韓戦の視聴率は未確定とはいえ、これまでより仮に数字が伸びていたとしても森保ジャパンにとって何一つプラス要素にはならないだろう。現実としてスポンサーやテレビ各局から「森保監督にはできることならば、お引き取り願いたい」とのブーイングが止まらない。

 民放局プロデューサーは「森保さんは人間的にとてもいい人ではあるのですが」と注釈をつけながらも、次のように重い口を開いた。

 「レベルの高いコパ・アメリカはさすがに厳しいとしてもアジアカップか、E―1で優勝してもらわないと『監督として彼は何をやっているんだ』という話にもなりますよ。そして結果がイマイチなのはもちろんのこと、森保監督は余りにも地味過ぎ。コメントもつまらない。外国人指導者は総じて『パッション(情熱)』を大事にしているので、過去に日本代表を率いていた歴代監督のメディアに対する発言には重みや説得力がありました。

 歴代日本人監督の岡田(武史)さんや、賛否両論あった西野(朗)さんだって発言にはその『パッション』が感じられ、話題性も十分だったのです。監督がそういう要素を持ち合わせているかどうかも選手たちは敏感に反応しますよ。ところが森保監督にはほとんど感じられない。自ら表情を変えずに『いつもコメントがつまらなくて申し訳ないです』と自虐的に言うのが、口癖なぐらいですけれども我々としては笑えないですよね。

 何を考えているのかよく分からない、そしてイメージ的にも暗い監督が指揮を執っているようではチームの戦術も無策なのではとうがった見方もしてしまいますし、先行きは非常に不安です。個人的には、やはり指揮官には向いていないと思います。このままでは2022年のカタールW杯、東京五輪ともに日本の両世代別の代表チームには厳しい現実が待ち受けているでしょう」

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