海野素央の Love Trumps Hate

2020年2月28日

»著者プロフィール
著者
閉じる

海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授 心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08年~10年、12年~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年と12年米大統領選挙で研究の一環として日本人で初めてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。激戦州南部バージニア州などで4200軒の戸別訪問を実施。10年、14年及び18年中間選挙において米下院外交委員会に所属するコノリー議員の選挙運動に加わる。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。中西部オハイオ州、ミシガン州並びに東部ペンシルべニア州など11州で3300軒の戸別訪問を行う。20年民主党大統領候補指名争いではバイデン・サンダース両陣営で戸別訪問を実施。南部サウスカロライナ州などで黒人の多い地域を回る。著書に「オバマ再選の内幕」(同友館)など多数。

2番目の選択肢

 期日前投票をした有権者は、投票用紙に2番目の選択肢の候補を記入してあります。最初に支持した候補が、全体の15%の票を獲得できずに脱落した場合、2番目の候補に投票することになります。サンダース候補は8人の有権者から支持を得て、期日前投票が20票に伸びました。

 最終結果は、サンダース候補が32票、バイデン候補とブディジェッジ候補が15票、ウォーレン候補が12票になりました。

 その上で獲得した票数に代議員数をかけて、全体の投票数で割り、獲得議員数を決定します。

 サンダース候補を例にとってみましょう。獲得した32票に代議員数9をかけて、全体の投票数74で割ると、3.89になります(32×9÷74=3.89)。同候補の獲得議員数は、数字を繰り上げて「4」になりました。他の候補に関しても同様の計算方法で、獲得議員数を出します。

党員集会の魅力と問題点

 党員集会では各候補の支持者が演説を行い、支持を訴えます。その際、候補の政策を羅列するよりも、自身のストーリー(物語)を語る手法が効果的です。例えば、サンダーズ陣営では、支持者が有権者を説得するとき、国民皆保険や学生ローンの負債を、自分ないし家族とリンクさせて語るように促しています。

 余談ですが、トランプ大統領の演説が支持者に説得力がある理由の1つは、彼らの人生で起こりうるストーリーを政策と結びつけて語るからです。

 各陣営の演説に加えて、党員集会における説得タイムも見どころです。フェイス・トゥ・フェイスで説得する場面には、民主主義の真髄である「表現の自由」が反映されています。

 ただし、問題点も存在します。中西部アイオワ党員集会では、集計システムに支障が起こり、混乱し、集計結果の公表が大幅に遅れました。加えて、投票者の人数を手作業で確認するので、人的ミスも発生します。

 同点決勝戦で不正が発生する可能性もあります。例えば、代議員数の合計が「7」の選挙区で、候補Aと候補Bがそれぞれ3を獲得したとします。ところが、候補Cと候補Dの獲得代議員数が1であった場合、同点決勝戦を行います。驚いたことに、選挙区の責任者がトランプを使って決着をつけます。

同点決勝戦はトランプで行う(筆者撮影@西部ネバダ州ラスベガス)

 ある選挙区で、スタイヤー候補とクロブシャー候補が同点決勝戦を行うことになりました。選挙区の責任者がカードをよく切って引いたところ、両候補ともカードの数字が「5」でした。この場合、スペードが最も優先順位が高いというルールが適応されます。スタイヤー候補はスペードの5、クロブシャー候補はダイヤモンドの5でしたので、前者が代議員1を獲得しました。

 筆者はこの場面を観察していました。クロブシャー候補とサンダース候補の代表が監視していましたが、スタイヤー候補の代表は欠席でした。選挙区の責任者は、クロブシャー候補に有利に導くことが可能であったはずです。

 さらに、選挙区ナンバー3768の責任者が、獲得代議員数を決定した後で、サンダース候補は2番目の選択肢で8人の有権者から支持を得ていなかったと説明しました。確認をしたら、12人のままだと言うのです。選挙区の責任者のミスです。

 サンダース候補の代表は、すでに獲得代議員数「4」で著名をしていました。そこで、同候補の代表は抗議をしたのですが、サンダース候補の代表が抗議をしたのですが、結局、獲得代議員数を「4」から「3」に減らされたのです。

 このように党員集会には様々な問題点が存在しますが、フェイス・トゥ・フェイスの説得を行う場面に、民主主義の原点を見ました。

ネバダ州党員集会選挙区ナンバー3768の結果(筆者撮影@西部ネバダ州ラスベガス)

  
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。

関連記事

新着記事

»もっと見る