2番目の選択肢
期日前投票をした有権者は、投票用紙に2番目の選択肢の候補を記入してあります。最初に支持した候補が、全体の15%の票を獲得できずに脱落した場合、2番目の候補に投票することになります。サンダース候補は8人の有権者から支持を得て、期日前投票が20票に伸びました。
最終結果は、サンダース候補が32票、バイデン候補とブディジェッジ候補が15票、ウォーレン候補が12票になりました。
その上で獲得した票数に代議員数をかけて、全体の投票数で割り、獲得議員数を決定します。
サンダース候補を例にとってみましょう。獲得した32票に代議員数9をかけて、全体の投票数74で割ると、3.89になります(32×9÷74=3.89)。同候補の獲得議員数は、数字を繰り上げて「4」になりました。他の候補に関しても同様の計算方法で、獲得議員数を出します。
党員集会の魅力と問題点
党員集会では各候補の支持者が演説を行い、支持を訴えます。その際、候補の政策を羅列するよりも、自身のストーリー(物語)を語る手法が効果的です。例えば、サンダーズ陣営では、支持者が有権者を説得するとき、国民皆保険や学生ローンの負債を、自分ないし家族とリンクさせて語るように促しています。
余談ですが、トランプ大統領の演説が支持者に説得力がある理由の1つは、彼らの人生で起こりうるストーリーを政策と結びつけて語るからです。
各陣営の演説に加えて、党員集会における説得タイムも見どころです。フェイス・トゥ・フェイスで説得する場面には、民主主義の真髄である「表現の自由」が反映されています。
ただし、問題点も存在します。中西部アイオワ党員集会では、集計システムに支障が起こり、混乱し、集計結果の公表が大幅に遅れました。加えて、投票者の人数を手作業で確認するので、人的ミスも発生します。
同点決勝戦で不正が発生する可能性もあります。例えば、代議員数の合計が「7」の選挙区で、候補Aと候補Bがそれぞれ3を獲得したとします。ところが、候補Cと候補Dの獲得代議員数が1であった場合、同点決勝戦を行います。驚いたことに、選挙区の責任者がトランプを使って決着をつけます。
ある選挙区で、スタイヤー候補とクロブシャー候補が同点決勝戦を行うことになりました。選挙区の責任者がカードをよく切って引いたところ、両候補ともカードの数字が「5」でした。この場合、スペードが最も優先順位が高いというルールが適応されます。スタイヤー候補はスペードの5、クロブシャー候補はダイヤモンドの5でしたので、前者が代議員1を獲得しました。
筆者はこの場面を観察していました。クロブシャー候補とサンダース候補の代表が監視していましたが、スタイヤー候補の代表は欠席でした。選挙区の責任者は、クロブシャー候補に有利に導くことが可能であったはずです。
さらに、選挙区ナンバー3768の責任者が、獲得代議員数を決定した後で、サンダース候補は2番目の選択肢で8人の有権者から支持を得ていなかったと説明しました。確認をしたら、12人のままだと言うのです。選挙区の責任者のミスです。
サンダース候補の代表は、すでに獲得代議員数「4」で著名をしていました。そこで、同候補の代表は抗議をしたのですが、サンダース候補の代表が抗議をしたのですが、結局、獲得代議員数を「4」から「3」に減らされたのです。
このように党員集会には様々な問題点が存在しますが、フェイス・トゥ・フェイスの説得を行う場面に、民主主義の原点を見ました。
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