海野素央の Love Trumps Hate

2020年2月3日

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海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授 心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08年~10年、12年~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年と12年米大統領選挙で研究の一環として日本人で初めてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。激戦州南部バージニア州などで4200軒の戸別訪問を実施。10年、14年及び18年中間選挙において米下院外交委員会に所属するコノリー議員の選挙運動に加わる。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。中西部オハイオ州、ミシガン州並びに東部ペンシルべニア州など11州で3300軒の戸別訪問を行う。20年民主党大統領候補指名争いではバイデン・サンダース両陣営で戸別訪問を実施。南部サウスカロライナ州などで黒人の多い地域を回る。著書に「オバマ再選の内幕」(同友館)など多数。

 今回のテーマは、「アイオワ党員集会とニューハンプシャー州予備選挙」です。民主党候補指名争いは、2月3日に党員集会が中西部アイオワ州、11日に最初の予備選挙が東部ニューハンプシャー州で行われます。米メディアの世論調査では、上の2州でバーニー・サンダース上院議員(無所属・東部バーモント州)が優勢で、ジョー・バイデン前副大統領が苦戦しています。

 そこで本稿では、アイオワ州党員集会とニューハンプシャー州予備選挙での勝敗が、バイデン氏にとってどのような意味を持つのかについて述べます。

アイオワ州デモインで演説するサンダース議員(REUTERS/AFLO)

サンダース対バイデン

 米政治専門サイト「リアル・クリア・ポリティクス」によれば、各種世論調査の平均支持率(20年1月20-27日)は、アイオワ州ではバーニー・サンダース上院議員が23.8%で、20.2%のジョー・バイデン前副大統領を3.6ポイントリードしています。一方、ニューハンプシャー州におけるサンダース氏の平均支持率は26.3%で、こちらはバイデン氏の16.8%を9.5ポイントも上回っています。

 米CNNによるニューハンプシャー州民主党予備選挙に関する世論調査(1月15-23日実施)もみてみましょう。この調査では、サンダース上院議員の支持率は25%で、16%のバイデン前副大統領を9ポイントリードしています。加えて、サンダース氏は同州における好感度でも、バイデン氏を12ポイントも上回っています。

 ということは、仮にサンダース上院議員が初戦のアイオワ州と次のニューハンプシャー州の両州を制した場合、同陣営は勢いづいて22日の西部ネバダ州及び29日の南部サウスカロライナ州の党員集会に臨むことになります。

 もしバイデン氏が2連敗すれば、同氏は3戦目のネバダ州と4戦目のサウスカロライナ州での勝利が必須になります。上で紹介したリアル・クリア・ポリティックスによる各種世論調査の平均支持率は、バイデン氏がサンダース氏をネバダ州で5.7ポイント、サウスカロライナ州で17ポイントも上回っているので、たとえ2敗しても2連勝できるチャンスはあります。

 ただ、バイデン氏はネバダ・サウスカロライナ両州で巻き返しを図ることができないと、サンダース氏に「ドミノ現象」が起こり、阻止できない可能性が出てきます。

 では、次のシナリオです。サンダース上院議員とバイデン副大統領候補以外の候補が、アイオワ州とニューハンプシャー州の勝者を分け合った場合です。バイデン氏にとってどのような意味を持つでしょうか。

 バイデン前副大統領の順位が問題になります。例えば、バイデン氏がアイオワ・ニューハンプシャー両州で3位ないし4位になると、有権者から「弱い候補」とみなされることは確実です。

 米NBC ニュースとウォール・ストリート・ジャーナル紙の共同世論調査(20年1月26-29日実施)によれば、民主党支持者は、「医療保険制度、気候変動、経済といった争点において大胆な政策を打ち出す候補」「オバマ前大統領の政策や議題を継続する候補」「米国史上初の女性大統領候補」よりも、「ドナルド・トランプ大統領を破る可能性が最も高い候補」に投票すると回答しています。

 バイデン氏は民主党候補の中でトランプ大統領を破る公算が最も高い候補として見られていますが、アイオワ州及びニューハンプシャー州で3位ないし4位に終わると、有権者のこの認識が変わる可能性は否定できません。

 バイデン前副大統領にとって最悪のシナリオにも触れておきましょう。もしバイデン氏が初戦から4連敗すれば、撤退もあり得ます。逆に、アイオワ州かニューハンプシャー州のどちらかの州で勝ち、1勝1敗に持ち込めばバイデン氏にとって勝利といえます。

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