田部康喜のTV読本

2020年2月28日

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田部康喜 (たべ・こうき)

コラムニスト

福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

史上最悪の10日間の始まり

 「悪いうさぎ」は、ハムラがリゾートホテルチェーンの会長・滝沢喜代志(大鶴義丹)から失踪した、娘・美和(田中珠里)を捜索する依頼を受けた事件だった。滝沢は、美和と同じ私立高校に通う友人である、平ミチル(井頭愛海)が美和の行き先を知っている、言ってハムラにミチルに当たるように命じる。美和の友人はほかにいないかと尋ねるハムラに、滝沢は「アヤ(綾)とかカナ(佳奈)とか」と答える。下校を待ち構えていたハムラに、ミチルは美和ばかりか、アヤやカナとも友人であることを否定する。

 「真夜中に鳴る電話にろくなことはない。これが、ハムラアキラ、史上最悪の10日間の始まりだった」――小説と同様に物語は、ハムラの語りによって進んでいく。

 携帯電話をかけてきたのは、ミチル(井頭)だった。殺人現場の近くにいたミチルが警察に捕まえられたというのである。殺されていたのは、アヤこと柳瀬綾(小野花梨)だった。彼女は、学校に知られて退学処分になることを恐れて、住所、氏名をはじめとして、質問に一切答えなかったのである。現場にかけつけたハムラは、顔見知りの警察官にミチルの学校に連絡しないことを条件にして、ミチルから事情聴取ができるようにした。

 ミチルによると、綾から遊ぼうという誘いを受けて、夜の10時に殺人現場近くのショッピングセンターで待ち合わせることにした。遅い時刻になったのは、その前に綾に先約があるからだったという。ミチルと綾、そして失踪した美和の3人は親友同士で、綾はドラックから抜け出そうと、売人の男ともめていた。

 警察は、この売人を綾の殺害容疑で逮捕する。取り調べのなかで、売人が持っていた名簿のなかに、美和の名前があったことから、その殺害を追及されると、男は机のペンを目に突き刺して自殺する。「あの女、はめやがったな」という言葉を残して。

 「葉村晶シリーズ」の魅力のひとつは、伏線の数々をハムラが解き明かして、真実にたどり着く物語の巧みさにある。この名簿もひとつだろう。

 ミチルを自宅まで送ろうとすると、ミチルがウィッグを脱ぎ去ってショートカットに変身し、口紅をぬぐったのに、ハムラは驚く。ミチルを迎えた母親が「ミツルちゃん、ミツルちゃん……」と男の子の名前で呼び抱きしめたのは何故なのだろうか。

 警視庁・警視の岡田正太郎(間宮)は、料亭に大物と思われる人物(神尾佑)に呼ばれたシーンが展開する。この人物とは、そして事件との関係は。

 「ハムラアキラ、史上最悪の10日間」の結末は。そのとき、ハムラは無事なのだろうか。

  
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