田部康喜のTV読本

2020年2月14日

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田部康喜 (たべ・こうき)

コラムニスト

福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

(Artem Peretiatko / gettyimages)

 カンテレ制作・フジ系列「10の秘密」(毎週火曜午後9時)は、マンションなどを対象にする建築確認検査員役の向井理と、弁護士役の仲間由紀恵の元夫婦が巨額のカネをめぐってぶつかり合うサスペンスである。それぞれが抱える秘密ばかりではなく、登場人物たちの秘密が絡み合って、物語はどんでん返しの連続で息もつかせぬテンポで進んでいる。

 カンテレ制作枠の火曜午後9時のドラマは、「月9」にならって「火9」という。直木賞作家の金城一紀・原案の小栗旬主演「CRISIS 公安機動捜査隊特捜班」(2017年)、韓国ドラマの翻案の坂口健太郎主演「シグナル 長期未解決事件捜査班」(18年)、やはり同国ドラマの翻案の三浦春馬主演「TWO WEEKS」(19年)など、サスペンスの傑作が多い。今回のドラマもまた、カンテレの制作能力水準の高さを示している。

 上昇志向が極めて強い、弁護士・仙台由貴子(仲間由紀恵)は、平凡な人生を歩む夫の白河圭太(向井理)を捨て離婚した。圭太は娘の中学生・瞳(山田杏奈)とふたり暮らしである。

 元夫婦が敵対するきっかけは、由貴子(仲間)が顧問弁護士を務めていた、帝東建設が隠蔽している高層マンションの手抜き工事だった。低層部分は設計通りの材料と工法で建築されていたが、中高層部分は利益重視の手抜き工事のために地震などがあれば崩壊しかねない。会社の隠蔽を暴こうとしていた社員に近づいた、由貴子は社員が社長の長沼豊(佐野史郎)らの偽装工作の指示などを詳細に記したメモを手に入れる。

 隠蔽工作が明らかになることを諦めた社員が建設中のマンションの屋上から、飛び降り自殺を図った際に、由貴子は自殺を思いとどまるように説得していたのだった。それは社員が持っている証拠を手に入れるようにという、社長の長沼(佐野)と経営戦略室長で由貴子の愛人である宇都宮竜二(渡部篤郎)の指示によるものだった。飛び降りの地上の現場でメモはみつけた由貴子だったが、偽装工作の設計図と現場写真のデータが入ったUSBメモリーは探し出せなかった。

 由貴子は突然、共同経営者に上り詰めたファームを辞めて、高級マンションの住まいからも姿を消す……

 タイムスリップができる青年役の藤原竜也主演の映画「僕だけがいな街」(平川雄一朗監督・2016年)などの作品で知られる、脚本の後藤法子は今回のドラマも、画面展開がめまぐるしいテンポのよい作品に仕上げている。

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