2024年6月22日(土)

From LA

2020年2月28日

オバマ政権そのものへの不信感

 さらには、オバマ政権そのものへの不信感も見て取れる。オバマ政権の最大の功績とされるのはオバマケアの実施だが、これが今、崩壊の危機に直面しているのだ。オバマケアとは、一般の健康保険から漏れる中低所得層に、アフォーダブル(入りやすい)保険を提供する、というものだった。最低所得層については元から政府が支給する安価な保険がある。企業に務める人にも企業が補助する保険がある。ここから漏れるのは自営や零細企業、非正規などで所得が平均以下の人々だ。

 しかし当初は成功を収めたかに見えたオバマケアだが、民間の保険会社が提供しているため、「採算が取れない」と大手保険会社が次々に脱落している。また保険料そのものも当初と比べれば上がっている。つまり、政府保証ではなく民間の保険会社が提供する保険に頼ったがために、歪が出ている。

 またトランプ政権が是非はあれども北朝鮮との対話や中国への強硬姿勢、中東和平など、これまで出来なかったことを次々に行ったことで、オバマ政権は手ぬるかったのではないか、という声も出ている。そのためオバマ政権の再来になりそうなバイデン氏への信頼がそこまで強くないことが露呈している。

 一方ブティジェッジ氏は若く聡明で、次世代リーダーとしての期待も高まる一方、やはり経験不足とLGBTを公言していることでコンサバティブな人々からの支持が得にくい。次、あるいは次の次の選挙で大きく躍進できる可能性はあるものの、今回はまだ時期尚早と言える。

 ブルームバーグ氏は、同じく中道穏健派ながら大富豪候補という点でトランプ大統領と似ている、ニューヨーク市長時代の功績がある、豊富な選挙資金がある、などで可能性としては打倒トランプに近い存在になるかもしれない。現状、同じような政策立場のバイデン氏とブルームバーグ氏が票を食い合うよりも、一本化して民主党が強くバックアップすることが必要だ、とシュワルツ氏は訴えている。

 ただし中道派が一本化したとしても、バーニーの勢いを止めるのは難しいかもしれない。4年前に「民主党本部の不公平な介入」により候補を逃した、という思いがあるバーニー支持者らは、今度こそ、と草の根運動を展開している。またバーニーの主張は前回の若者だけではなく、今の若者の支持も集めている。

 奇妙なことだが、世界の話題を集めるグレタ・トゥンベリさんを支持する若者の多くがバーニー支持者と重なる。バーニーは特に環境問題に特化しているわけではないが、利益を追い求める企業への批判、国民皆保険、保育所や大学教育の無償化などが社会的公平を求める若者に響いている。

 バーニーではトランプに勝てない、と言われるが、前回の選挙では民主党候補がヒラリーではなくバーニーだったなら民主党が勝っていた、という論調が選挙後に目立ったのも事実だ。バーニーは社会主義者と言われるが、もし彼が社会主義者ならば日本や欧州の多くの国もまた社会主義ということになる。米国だけが先進国の中で変わった立ち位置にいる、ということを国民が広く理解すれば、バーニー大統領が誕生することも決して夢ではない。

  
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