中東を読み解く

2020年3月1日

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“第二のサイゴン”に

 和平交渉では、停戦の条件とスケジュール、政府とタリバンの統治システム、つまりは権力の共有をどうやって図るのかなどが大きな課題となる。タリバン側がイスラム原理主義思想の導入を要求するのは必至と見られており、世俗主義のガニ政権が拒否し、交渉が暗礁に乗り上げることが早くも懸念される。

 両者の対立が先鋭化すれば、国土の半分を支配し、軍事力に自信を持つタリバンが交渉を蹴って、政府軍との戦闘が再発する恐れも出てくるだろう。かつて米国が苦しんだベトナム戦争では、米国が手を引く中、南ベトナムの首都だったサイゴンは北ベトナムに制圧された。タリバンによって、カブールが“第二のサイゴン”になる可能性もないではない。

 タリバンが米国との合意に応じたのは「米軍を追い出してしまえば、自分たちの天下がくると勝利を確信したからだ」(ベイルート筋)ろう。女性の人権を無視したかつての統治に戻らないという保証は全くない。米軍の撤退日程は「状況次第」(ポンペオ氏)とされているが、トランプ政権が交渉に関与することには消極的と見られており、ガニ政権を事実上、見捨てることになるかもしれない。

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