中東を読み解く

2020年3月1日

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「和平実現に関心なし」

 米国がタリバンとの合意を急いだのは、再選を目指すトランプ大統領の選挙日程と密接にリンクしている。民主党の候補者選びが混迷を深める中、トランプ氏はアフガニスタンからの米軍撤退を強くアピールしていく構えだ。大統領は合意に先立ち、「戦争終結と米軍帰還に向け大きな道が開ける」との声明を発表、公約を実行する指導者としての自分を誇示した。

 トランプ大統領の前任のブッシュ、オバマ両氏がアフガニスタンに民主主義の理念を導入しようとしたのに対し、トランプ氏は一つのことしか頭にない。それは「米軍を撤退させる」ということに尽きる。「民主主義や女の人権などは眼中にないし、アフガンに真の平和が到来するかなどにも関心がない。とにかく目先の選挙が最優先」(同筋)。

 特に前任のオバマ氏を敵視するトランプ大統領は「あのオバマでもできなかった米軍撤退を実現した」ことを何よりも強調したい考えと見られている。懸念されるのは大統領が、直感に頼った場当たり的な決断をするリスクがあることだ。和平交渉が難航すれば、「ある朝目覚めて、すぐに全面撤退するよう命令しかねない」(米紙)。「戦地アフガンから若者の米兵を帰還させたのは私だ」。遊説先で誇示する大統領の顔が浮かぶ。

  
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