田部康喜のTV読本

2020年3月26日

»著者プロフィール
著者
閉じる

田部康喜 (たべ・こうき)

コラムニスト

福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

日本でオーバーシュートは起こるのか

 3月13日、クラスター班に緊張が走った。感染者の20人あるいは30人の感染ルートが一時、つながらなかった。つまり、解明できなかったのである。押谷氏は「関西と関東がやられたとしたら、予断を許されない」と、必死の表情になる。

 3月19日、政府の専門家会議は、大都市においてオーバーシュートが起きる可能性について触れた報告書を発表した。

 クラスター班のメンバーである、北海道大学教授の西浦博氏は「人と人の接触を避ける、無駄な接触を避けることをしないと、日本でも80%とか90%の人が感染する。人々の行動様式を変えなければいけない。専門家だけではなく、皆で向き合っていかなければならない」と、語る。

 オーバーシュートが、日本で起きる可能性はどうなのか。

 押谷氏は、次のように説く。

 「見えないクラスターが連鎖して、メガクラスターになる。そうすると、医療崩壊が起きて、院内で感染が発生する。欧州のような爆発的なオーバーシュートが起きる」

 「クラスターを追うだけでは、対処できなくなる。世界の都市がやっているように、都市の断絶、都市の閉鎖が必要になる」

 番組の最後の大きな柱は、ワクチンと治療の特効薬の課題である。ワクチンの開発には1年かかるか、あるいはできない可能性も参加者から指摘された。理化学研究所が、感染症に効果ある、1200種類の薬品について新型コロナウイルスに効果を試みたところ、4種類の薬品が、治療薬として候補にあがっている。このなかでは、実際の治療に使われているものもすでにある。

 オルベスコは、喘息の治療薬で副作用が少ない。インフルエンザの治療薬のアビガンも有力が候補である。中国ではすでに効果がある、とされている。次に、HIV(後天性免疫不全症候群、エイズ)の特効薬である、カレトラである。また、エボラ出血熱の治療薬である、レムデシビルも候補にあがっている。

 新型コロナウイルスについては、テレビのワイドショーからニュースショー、ネットの情報に至るまで、大量の情報の海のなかで、人々は何が真実なのか見極めがつかない。今回のNHKスペシャルは、我々に理解の糸口を提供するものであり、今後もシリーズ化を期待したい。

  
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。

関連記事

新着記事

»もっと見る