では、日本政府が米国に対して負担軽減のお礼を言えばよいのかと言えば、またそうでもありません。日本政府が政策として負担軽減を米国に要求したことはないはずです。発端は、ラムズフェルドの訪日に際して沖縄県知事との会談がアレンジされた際、沖縄県知事が、米軍は負担だと発言し、これを聞いた短気性急なラムズフェルドが、「おれたちは日本を守っていると思っていたのに、負担だというなら削減する」と言い出したことにあります。米国としては、駐留軍を減らしてくれと言う日本側(日本政府側と言えるかどうかは分りません)の言い分を好意的に聞いてやったのだから、感謝されるべきだという考え方でしょう。これ一つ見ても、沖縄基地問題が一筋縄でいくものではないことが分かります。
なお、次の危機がアジア太平洋とは限らないというのは、アメリカの軍事専門家の共通の危惧であり、現に、今一番差し迫った問題はイランとの対決の可能性です。
しかし、日本の立場から言えば、国防費の削減問題とは関係なく、アジアに軸足を移すというオバマ政権の立場は歓迎すべきであり、米国のアジア復帰は正論として支持の態度を明らかにすべきものと思われます。
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