2024年4月23日(火)

海野素央の Democracy, Unity And Human Rights

2020年4月13日

エスタブリッシュメントの犠牲者

 自身のツイッターにおいても、トランプ大統領は「揺さぶり」と「切り崩し」の戦略をとっています。「AOCプラス3(スリー)がまだバイデンを支持していない」と投稿しました。AOCはサンダース上院議員の弟子であるヒスパニック系のアレクサンドリア・オカシオ・コルテス下院議員(東部ニューヨーク州)のそれぞれの頭文字をとったものです。

 一方、3はパレスチナ系のラシダ・タリーブ下院議員(中西部ミシガン州)、ソマリア系のイルハン・オマル下院議員(中西部ミネソタ州)及びアフリカ系のアヤンナ・プレスリー下院議員(東部マサチューセッツ州)です。

 AOCプラス3は、非白人の民主党若手女性議員で、サンダース上院議員と同じ急進左派です。トランプ大統領はAOCプラス3を持ち出して、「彼女たちはバイデン支持者ではない」というメッセージを発信して、ここでもサンダース支持者に揺さぶりをかけました。

 加えて、「(サンダースは)エリザベス・ウォーレン(上院議員)が早く撤退をしていれば、(予備選が集中した3月3日の)スーパーチューズデーのほとんどの州で勝利を収めていただろう」と、自身のツイッターでつぶやき、サンダース支持者に同情を示しました。

 サンダース撤退に関して、「民主党全国委員会(DNC)が望んでいた終わり方だ」とも投稿しました。つまり、民主党指導部の策略によって、サンダース上院議員はバイデン氏に敗れたのであって、「エスタブリッスメントの犠牲者である」という「隠されたメッセージ」を発したのです。その狙いは、4年前と同様、サンダース支持者の批判の目を民主党指導部に向けさせ、党内の分裂を深化させて、トランプ陣営に有利に働くように導くことです。

 いづれにしても、トランプ大統領とバイデン副大統領によるサンダース支持者の争奪戦が幕を開けました。

  
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