WEDGE REPORT

2020年4月21日

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香港で医療崩壊の話が出ない理由

 香港は現在、入境者はいかなる人も空港近くに設置された検疫所で唾液を収集され、感染しているかどうかの検査を受けなければならない。その後、自宅、ホテル、政府が用意した施設で14日間の強制検疫を受けなければならないが、これが大きい。多くの人は自宅で検疫するので病院に負担がかからない。

政府が用意した隔離施設(香港政府新聞処提供)

 自宅検疫では勝手に外出してもおかしくないので政府からQRコード付のリストバンドが渡され、政府が用意した検疫用アプリをダウンロードしてQRコードと同期させられる。かつGPSを常時オンにしなければならず、外出したらすぐ当局に把握される仕組みになっている。唾液の検査結果は3日以内に判明し、陽性であれば政府が入院先を手配してくれる。こうすることで、陽性の人だけ病院に入ることになり、香港では医療崩壊の話はほとんど出てこない。

自粛疲れは日本も香港も同じ

 日本では、当初7都府県で緊急事態宣言が出たが、その要因の一部として、3月20日~22日の3連休で自粛疲れが出て、桜を見るなど大勢の人が外出した影響で、3月末から感染者が一気に増えだした点がある。

 香港でも外出を自主規制しているので、日本と同じように自粛疲れがでる。4月10日~13日までイースターの祝日があり、大勢の人が外出した。人間というのは、どうしてもそうなってしまうのだろう。日本も5月6日以降に緊急事態宣言が延長された場合に、5月9日あたりに自粛疲れが再び出てもおかしくはない。そこを踏ん張れるかというのも一つの試練だろう。

 昔、ペストなど感染症の大流行は100年単位で起きていたが、02~03年のSARS、12年の中東呼吸器症候群(MERS)、今回のCOVID-19と、この18年間で3回も発生している。単純計算で6年に1回だ。このペースなら次の感染症は26年ごろに発生する事になる。

 新型肺炎は健康と経済という「2兎を追う者は2頭を得る」にしなければならない難しさがあるが、経済にあわせるのではなくまずはウイルスの生態に合わせるのが基本だ。そこを忘れると感染爆発が起こり、ほぼ終息するまで経済対策という言葉は消滅することになる。

  
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