世界の記述

2020年4月7日

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 新型コロナウイルスは差別も忖度も一切しない存在だ。志村けん、トム・ハンクス、イギリスのジョンソン首相…年齢、性別、国籍、地位、知名度は全く関係なく、誰であろうが平等に感染する。そして、時には命も奪う。そんなウイルスから身を守るには情報が欲しいが、日本の場合はプライバシーとの兼ね合いがあり、どこまで情報公開をするべきなのか誰もが模索している。

(AP/アフロ)

 理由としては、いじめや誹謗中傷が起こる可能性が低くないというのも1つだろう。一方、香港は「人権より2次感染防止を優先、香港の新型コロナ対策」で書いた通り、2次感染防止に重点が置かれるので感染者の情報が相当なレベルまで公開されるが、いじめなどはほぼ発生しない風土がある。

個人名と厳密な住所以外は公開

 テレビ、新聞だけでなくインターネットが発達した今、情報はいつでもたくさん取れるようになった。フェイクニュースかどうかの判断力は求められるが、情報がないよりはあった方がいい。

 香港は2003年に重症急性呼吸器症候群(SARS)が流行した時もそうだが、政府もメディアもできるだけ情報公開をしようとする。具体的に見ていきたい。香港政府はPDFファイルで自宅隔離している人のリストを公開している。そこには、隔離された人の番号、地区名、住所(マンション名と、マンションが複数ある場合はA棟、B棟など)、自宅検疫終了日が書かれている。このファイルの最後のページ下にある注意書きには、プライバシーを考慮して(部屋番号などの細かな)住所までは書かないと記されている。ただ、ここまで情報を出してもらえば「自分の家の近くのマンションから感染者が出たのだな」という注意喚起が十分期待できる。

 また、「2019冠状病毒病-香港最新状況」というサイトは、アメリカのジョンズ・ホプキンス大学が出しているデータに似ているが、項目別に情報が提供されるなど、より詳細な情報が公開されている。感染が確定した人の感染者番号、性別、年齢、感染確定日、香港市民なのか観光客か、入院したか退院したか、どうやって感染したか(濃厚接触、外国で感染など)を網羅し、それを地図上に赤い点を打って情報とリンクさせている。

地図上に記された詳細な感染者情報

 各病院の救急外来に行ったときの待ち時間や、感染者が利用した交通機関の詳細情報(航空会社、便名、座席番号、路線、乗った日付)もわかる。ダイヤモンド・プリンセス号の件も掲載されている。

 市民は政府発表やニュース番組、新聞やインターネットの報道を待つまでもなく、パソコンやスマートフォンなどのデジタルデバイスがあればすぐに最新情報を知ることができる。

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