韓国の「読み方」

2020年4月7日

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澤田克己 (さわだ・かつみ)

毎日新聞記者、元ソウル支局長

1967年埼玉県生まれ。慶応義塾大法学部卒、91年毎日新聞入社。99~04年ソウル、05~09年ジュネーブに勤務し、11~15年ソウル支局。15~18年論説委員(朝鮮半島担当)。18年4月から外信部長。著書に『「脱日」する韓国』(06年、ユビキタスタジオ)、『韓国「反日」の真相』(15年、文春新書、アジア・太平洋賞特別賞)、『韓国新大統領 文在寅とは何者か』(17年、祥伝社)、『新版 北朝鮮入門』(17年、東洋経済新報社、礒﨑敦仁慶応義塾大准教授との共著)など。訳書に『天国の国境を越える』(13年、東洋経済新報社)。

 新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、韓国では4月15日に総選挙が行われる。5月に就任3年となる文在寅大統領にとっては、任期5年の中間審判だ。同時に、任期5年で再任のない韓国の大統領制では避けられない任期後半のレームダック化の行方を占う選挙でもある。当初は景気低迷などで中間層の支持が離れているとして与党の苦戦も予想されたものの、新型コロナウイルスへの対応が評価される形で大統領支持率は急上昇。他の争点が隠されたという効果もあって、与党への追い風となっている。与党が勝ってもレームダック化の進行を食い止めるのは難しいように思われるものの、文氏が一息つけることは確かだろう。

(AP/アフロ)

「世界に評価された」とご機嫌な韓国世論

 韓国で新型コロナウイルスの感染者が初めて確認されたのは1月20日。当初は感染者の動線を徹底的に追うことで封じ込めに成功しており、文氏は2月13日に財閥オーナーら主要経済人との会合で「新型コロナ(による混乱)は、遠からず終息するだろう」という楽観的な見通しを示した。

 ところが5日後の18日、韓国で31人目の感染者が確認されたことを契機に事態は暗転する。この感染者はキリスト教会から異端とされ、家族にも信者であることを隠している人が多い新興宗教「新天地イエス教会」の信者だった。教団が当局に対して非協力的な態度を取ったために、感染した信者が集団礼拝に参加していた南東部・大邱市を中心とする大規模な集団感染に発展。22日には1日の新規感染者が200人を突破し、29日には1日で813人の感染が確認されるまでになった。

 一時は大邱市内の入院病床が足りなくなる混乱もあったが、教団関係者や濃厚接触者への徹底的な検査を通じて一定の封じ込めに成功し、3月12日以降は1日当たりの新規感染者が100人前後に落ち着き始めた。そして、ちょうどその頃から感染爆発が起きた欧米各国からは、徹底的な検査などによって都市封鎖なしにウイルスを封じ込めたと称賛されるようになった。

 序列意識が強く、他者からの評価を日本以上に気にする傾向の強い韓国では、欧米先進国からの称賛は特別な意味を持つ。しかも中国は武漢や湖北省で医療崩壊を起こし、日本も効果的な対策を打てないでいるように見えるから、文政権に好意的な進歩派系メディアでは「韓国すごい」という称賛コメントが目立つようになった。

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