新型コロナウイルスの発生状況に関する韓国政府のサイトを見て、思わず「見やすいな」とつぶやいた。私はいま、日々の記事執筆をしているわけではないので、今まで見たことがなかったのだ。今ごろになって知ったという不明を恥じつつ、日本にも参考になりそうなので紹介したい。同時に、これほど分かりやすいサイトが生まれた背景も考えてみたい。どちらも日本にとって参考になるものだと思う。
死亡した感染者の属性、基礎疾患を公開
韓国における感染状況は保健福祉省のサイト(http://ncov.mohw.go.kr)で逐次更新されている。3月27日午前0時現在の感染者数は9332人、死者139人である。このサイトではこの他、完治や治療中、検査結果待ちの人数、累積検査数と陽性率、最近1週間の発生状況、広域自治体別の発生状況(感染者数、死者数、人口10万人当たり感染者数など)がグラフで見やすく表示される。
人口10万人当たりの感染者を見ると、全国平均では18人だが、新興宗教教団で集団感染が起きた南東部・大邱市では267.43人にはね上がる。コールセンターでの集団感染などが最近起きたソウルは3.82人である。
さらに「国内発生現況」という詳細ページがある。ここでは死亡した人について、性別・年代・基礎疾患の有無・感染経路・死亡場所などを整理したデータを見ることができる。これを見ると、新型コロナウイルス感染症がどんな人たちにとって致命的なのかがよく分かる。死者のほぼ全員が基礎疾患を持っている人で、8割以上が65歳以上の高齢者。重症化する確率の低い若者に、こうした「高危険群」とされる人たちに感染させたら重大な結果につながると理解してもらうためにも詳細な情報開示は有益だろう。
こちらは集計に時間がかかるようで、本稿執筆時点では16日現在の死亡者75人についての情報になってしまうのだが、以下のような内容だ。(同日時点での感染者は8236人で、死者の割合=致命率=は0.91%。)。
【性別】
男 41 (54.7%)
女 34 (45.3%)
【年齢別】
30代 1 (1.3%)
40代 1 (1.3%)
50代 6 (8.0%)
60代 14 (18.7%)
70代 28 (37.3%)
80歳以上 25 (33.3%)
【年齢別致命率】
30代(感染者849人) 1 (0.12%)
40代(感染者1,147人) 1 (0.09%)
50代(感染者1585人) 6 (0.38%)
60代(感染者1024人) 14 (1.37%)
70代(感染者531人) 28 (5.27%)
80歳以上(感染者270人) 25 (9.26%)
【基礎疾患】(重複あり)
循環器系疾患(心筋梗塞、脳梗塞、不整脈、高血圧等) 47 (62.7%)
内分泌系および代謝性疾患(糖尿病、甲状腺機能低下症等) 35 (46.7%)
精神疾患(認知症、統合失調症等) 19 (25.3%)
呼吸器系疾患(ぜん息、慢性閉塞性肺疾患、肺炎等) 18 (24.0%)
泌尿器・生殖器系疾患 11 (14.7%)
悪性新生物(がん) 10 (13.3%)
神経系疾患等 3 (4.0%)
消化器系疾患 2 (2.7%)
血液および造血系疾患 1 (1.3%)
【高危険群】
65歳以上 61 (81.3%)
基礎疾患あり 74 (98.7%)
【感染経路】
新天地イエス教会関連 16 (21.3%)
施設および病院 23 (30.7%)
感染者との接触 7 (9.3%)
調査中 29 (38.7%)
【死亡場所】
入院室 58 (77.3%)
応急室 15 (20.0%)
自宅 2 (2.7%)