2024年4月29日(月)

WEDGE REPORT

2020年2月17日

(Anney_Lier/gettyimages)

 確かに許されることではない。韓国国内で東京電力福島第一原発事故と東京五輪・パラリンピックを絡め揶揄する動きが起こっていることについて、田中和徳復興相が14日の閣議後会見で怒りを爆発。「遺憾というより、とんでもないこと」と批判した。

 そりゃあ、そうだろう。韓国の民間団体が東京五輪を「放射能五輪」と連想させるような〝トンデモポスター〟を作成。そのポスターには「TOKYO 2020」の文字が記され、防護服を身にまとった聖火ランナーの姿が描かれている。これをソウルの日本大使館建設予定地に掲示したり、SNS上にも堂々と掲載したりして国内のみならず世界中で波紋を広げているのだ。作成する側はもちろんのこと、こんな暴挙を看過している韓国政府にも大いに問題がある。

 ちなみに菅義偉官房長官も韓国側の喧伝に「現実とは全く異なり、あってはならないことだ」などと述べており、外交ルートを通じて韓国政府に抗議したことを明かしている。だが、当の韓国側には謝罪する気など毛頭ない。それどころか、開き直りの姿勢まで見せつつあるようだ。東京五輪の開催権を得ておきながらも、日本政府を含めた大会組織委員会側は参加選手や観客に対して納得のいくような安全面の情報公開を怠っている――。それが文在寅大統領を筆頭とした韓国政府の明確な主張だ。

 実際に東京五輪に参加する代表選手団に韓国政府は大韓体育会を通じ、日本の選手村で提供する食事を極力摂らないように通達している。東京五輪の選手村から約15分の場所に位置するホテルを借り切り、韓国選手たちの臨時食堂を設営。国内にある国家代表選手村の専属シェフを日本へ派遣し、韓国から空輸する食材を使った料理を準備することを決め、どうやら日本が掲げる「復興五輪」にケンカを売るような愚行を本気で貫くつもりらしい。

東京五輪の現地観戦も自粛

 それだけではない。ここにきて韓国国内では政府が東京五輪の現地観戦についても国民に自粛を促す可能性まで高まってきている。最大の理由は新型コロナウイルスだ。

 中国では発生源の武漢からパンデミックとなり、新型コロナウイルスによる甚大な被害が出ている。この中国に次いで日本は2月16日時点で世界2位の感染者数を記録。発生源の中国以外では世界1位という危機的な状況にある。中国の近隣国でありながら日本政府の水際対策などの対応が余りにもずさんな上に甘く、初動も遅れた結果が招いた〝人災〟として諸外国のメディアから非難を浴びているのが現状だ。

 韓国政府が日本から「放射能五輪」の喧伝について抗議を受けても謝罪する意思を示さず、それどころか逆に強気な姿勢を崩そうとしない事由はここにある。要は〝東京五輪を開催するにもかかわらず、新型肺炎の罹患者拡大もとめられない国のどの口が言うのか〟と日本政府の危機管理能力の欠如を槍玉に挙げているのだ。ひいてはかつて安倍晋三首相が「アンダーコントロール」と五輪招致の場で力説した東京電力福島第一原発事故に関しても危機管理を疑って〝ウソに決まっている〟とし、ハナから信用しない方針をあらためて韓国政府側は密かに再確認しているという。

 11日に韓国政府は自国民に向け、日本を含むアジア6つの国と地域への渡航自粛を要請。不要不急な渡航を控えるように呼びかけている。日韓関係の悪化によって減少傾向にあったとはいえ、それでも韓国人来日客への依存度は日本各所の観光地にとって非常に高い。それだけに大きな打撃を受けることは必至だ。

 それに加えて韓国政府内では「仮に東京五輪の開催時期までに新型コロナウイルスの蔓延が終息化へ向かったとしても、五輪会場には多国籍の観客が大多数やってくるはずなのでパンデミックが再発する危険性も否定でできない」とする有識者の見解も浸透しつつある。今回勧告された日本への渡航自粛令は仮に状況が多少好転したとしても、東京五輪の本番まで継続されるとの見方が圧倒的だ。日本オリンピック委員会(JOC)の関係者もこう嘆く。

 「いや、韓国政府には東京五輪の開催時期に限定する形で代表選手やスタッフ、その親族を除く国民に段階をさらに引き上げて渡航禁止令を出すのではないかとのウワサもある。その裏側に新型肺炎の国内蔓延を防ぐ目的だけではなく、やはり彼らの狙いが〝反日〟にあるとみている大会関係者は少なくない。対日強硬派の与党議員たちが〝我が国が『放射能』だけでなく『新型肺炎』でも日本に毅然とした態度をみせれば他国も追随し、日本は東京五輪で赤っ恥をかくことになる〟という意味合いの内容で文大統領をけしかけていると聞く。東京五輪を復興の象徴とし、経済活性化にも結び付けたい我々日本側としてはこうして足を引っ張る韓国の反日行為はいかんともし難く、そして痛恨だ」


新着記事

»もっと見る