2024年4月20日(土)

前向きに読み解く経済の裏側

2020年4月28日

不動産価格暴落が銀行の貸し渋りを招く場合も

 何の理由もなく不動産価格が暴落することは考えにくいでしょうから、バブルが崩壊したか、深刻な不況が来た場合が多いでしょう。

 不動産バブル崩壊の場合には、たとえミニバブルだったとしても、高値で売り抜けようと考えていた投資家たちが一斉に投げ売りすることで不動産価格が暴落するわけですね。そうなると、銀行から借りた不動産購入資金を返済できない借り手が増え、銀行が損失を抱え、自己資本比率規制によって貸し渋りをせざるを得なくなるかもしれません。そんな時に最初に貸し渋りの対象となるのは、新たな不動産購入資金であり、「返済期日に返済出来ないから返済資金を新規借入で工面したい」という借入申込でしょう。

 不況で不動産購入需要が落ち込み、販売用不動産が大量に売れ残り、投げ売りが相次いで不動産価格が暴落する、という場合もあるでしょう。その場合には、不動産関連融資のみならず、一般の貸出も相当大量に焦げ付いているはずですから、銀行は赤字になり、自己資本比率規制によって貸し渋りを余儀なくされるかもしれません。

 銀行の貸し渋りが景気を悪化させて失業を増やし、失業の増加で住宅ローンの返済不能が増えて、大量の住宅が競売にかけられることで不動産価格がさらに暴落する、といった可能性も考えられますね。日本でもリスクはありますが、米国では失業者の急増が伝えられているので、特に心配です。

米国では住宅の競売が相次ぐ可能性も

 米国では日本と住宅ローンの契約内容が異なっているので、それが住宅の競売を激増させることもあり得るようです。それは、「住宅価格が住宅ローン残高を下回った場合には、借り手は住宅を銀行に差し出せば住宅ローンを免除される」からです。

 日本では、住宅を銀行に差し出しても残った借金は返し続ける必要があるので、差し出す人は稀ですが、米国ではそうでもないようです。従って、住宅価格が下がると住宅を銀行に差し出す人が激増し、それが銀行によって競売されて住宅価格を一層押し下げる、ということが起きるようです。

 本稿は以上です。なお、本稿は筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織等々とは関係ありません。また本稿は、厳密性よりも理解しやすさを重視しているため、細部が事実と異なる可能性があります。ご了承下さい。

  
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