前向きに読み解く経済の裏側

2020年3月30日

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塚崎公義 (つかさき きみよし)

経済評論家

1981年 東京大学法学部卒、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。主に経済調査関連の業務に従事。2005年 銀行を退職して久留米大学へ。現職は久留米大学商学部教授であるが、当サイトへの寄稿は一個人として行うものであるため、肩書きは「経済評論家」とする。

 金融危機は過去に何度も繰り返されて来ましたし、今後も繰り返されるだろう、と塚崎公義氏は心配しています。

 新型コロナの影響で世界経済が深刻な不況に突入しています。金融危機を心配する人も増えて来たようなので、金融危機について数回のシリーズで考えてみたいと思います。今回は第1回で「金融危機は繰り返す」です。

 本稿は、あくまでもリスクシナリオとして金融危機を論じるものであり、決してメインシナリオとして金融危機を予想して読者を不安に陥れようというものではありません。過度な懸念は不要ですので、落ち着いてお読みいただければ幸いです。

(bedo/gettyimages)

金融危機は繰り返す

 古来、金融危機は何度も繰り返されて来ました。最近だけでも日本のバブル崩壊後の金融危機、ほぼ同時期に発生したアジア通貨危機、リーマン・ショック、ギリシャ政府の破綻危機、等々が起きています。

 今後についても、いつか必ず繰り返されるでしょう。それが今次新型コロナに起因するものでない事を祈りますが、その可能性は否定できません。

 典型的な金融危機は、バブル崩壊によって金融機関が巨額の損失を被ることで起きるわけですが、それ以外にも様々な原因が考えられます。

 大不況による倒産増加で銀行の損失が巨額になる場合もあり得ます。大不況による税収減で政府の財政赤字が膨らんで債務危機が生じる場合もあるでしょう。今次不況の程度にもよりますが、欧米経済の深刻な状況を見ると、起きないとは言えません。

 対外債務を抱えた途上国がドルの返済に窮する場合もあるでしょう。米ドルが不足していると言われています。そうなると、米銀が途上国に貸してあるドルの返済を要請するでしょう。そうなると途上国が窮するかもしれません。

 日本についても、銀行がゼロ成長とゼロ金利で疲弊していますから、金融危機が起こらないとは限りません。ゼロ成長とゼロ金利の銀行への影響については拙稿『ゼロ金利とゼロ成長に苦悩している地銀決算』を御参照いただければ幸いです。

不良債権の増加で貸し手が疑心暗鬼に

 バブル崩壊や不況で不良債権が増加すると、貸し手が疑心暗鬼になり、資金供給を慎重化させます。借り手企業への貸出に慎重化するのみならず、他の銀行への資金提供にも慎重になるのです。

 「信用力に若干問題があるが、他の銀行も貸しているから大丈夫だろう」と思われていた所に各行からの返済要請がきはじめると、各銀行は不安になります。

 「他の銀行が回収する前に我々が回収しよう」と考えて回収する銀行が増えると、一層多くの銀行が焦って回収することになるわけです。これにより、材料が仕入れられなかったり給料が払えなかったりする借り手が増え、倒産が増えるかもしれません。

 普通は信用力に問題がある所から順番に返済要請が来るわけですが、稀にはデマが流れることで、全く健全な借り手の所に返済要請が殺到して倒産してしまうことがあるかもしれません。健全な銀行に対する取り付け騒ぎなどは、その一例ですね。

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