前向きに読み解く経済の裏側

2020年3月16日

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塚崎公義 (つかさき きみよし)

経済評論家

1981年 東京大学法学部卒、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。主に経済調査関連の業務に従事。2005年 銀行を退職して久留米大学へ。現職は久留米大学商学部教授であるが、当サイトへの寄稿は一個人として行うものであるため、肩書きは「経済評論家」とする。

 自分は罹患しても軽症だろうからと警戒しない若者がいると困る、と塚崎公義氏は心配しています。

(urbancow/gettyimages)

日本は比較的うまく流行をコントロールできている模様

 新型コロナが世界的な流行を見せる中、当初は罹患者数が多かった日本が、その後は罹患者数の増加ペースが遅いため、「人口100万人あたりの罹患者数」で見ると必ずしも上位に来ないようになりました。

 「検査件数が少ないだけだ」といった見方もありますが、死者数が少ないことを考えれば、実際の罹患者数もそれほど多くないのかもしれません。

 今のところ、比較的上手に流行を抑え込めていると言ってよさそうですが、今後を考える際に気をつけなくてはいけないのは若者の行動です。

 子供については、学校が休みになり、自宅待機を要請されていることから、流行の担い手となるリスクは比較的小さいでしょう。その代償として働く母親が困っている、といったことはあるのでしょうが。

 問題は、もう少し上の年齢の若者なのです。

誰もが重症化する病だと皆が警戒する

 誰でも罹患する可能性があり、罹患すれば重症化する可能性がある病があったとします。そんな病が大流行の兆しを見せれば、誰もが罹患しないように慎重に行動するでしょう。罹患すれば自分が苦しむわけですから。

 しかし、今回の新型コロナは、どうやら若者は罹患しても症状が出ないか軽いまま治癒する場合がほとんどで、重症化する可能性は低いということのようです。そこが問題なのです。

 中高年は自分が罹患しないように注意深く行動するでしょうから、それほど気にする必要はありませんが、若者はそうでもなさそうだからです。

 「自分は遊びたい。遊びに行って罹患しても重症化しないのであれば、自宅に篭っている必要はない」と考える若者は多いでしょう。そうした若者の行動を変更させるのは容易なことではありません。彼らの行動は合理的だからです。

 しかし、彼らが罹患すると、若者の間で罹患者数が爆発的に増え、中には高齢者と接触する若者も含まれているでしょうから、高齢者が罹患して重症化する、といった可能性が高まってしまいます。

 これは公害と同じ「外部不経済」ですが、公害より厄介です。

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