前向きに読み解く経済の裏側

2020年2月20日

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塚崎公義 (つかさき きみよし)

経済評論家

1981年 東京大学法学部卒、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。主に経済調査関連の業務に従事。2005年 銀行を退職して久留米大学へ。現職は久留米大学商学部教授であるが、当サイトへの寄稿は一個人として行うものであるため、肩書きは「経済評論家」とする。

 消費増税を契機として成長率が落ち込み、新型肺炎の影響で景気が後退することで、将来の消費増税が難しくなった、と久留米大学商学部の塚崎公義教授は考えています。

(Andrii Yalanskyi/gettyimages)

タイミングが悪かった消費増税

 10−12月期のGDP統計が発表になり、前期比マイナス1.6%(年率換算6.3%)という数字が市場の予想より悪かったこともあり、「消費増税で景気が腰折れしたのではないか」などと話題となっています。

 実際には今回の消費増税は、増税幅が前回より小さかったこと、さまざまな景気配慮がなされたこと、などから前回ほどの景気押し下げ効果はなかったようですが、タイミングが悪く、設備投資や輸出等の落ち込みと重なってしまったため、GDPのマイナス幅が前回並みに大きくなってしまった、ということのようです。

 

 表は、前回(2014年4−6月期、5%→8%の直後)と今回(2019年10−12月期、8%→10%の直後)について、実質GDPと内訳項目である個人消費(持ち家の帰属家賃を除く家計最終消費支出)等の前期比を示したものです。

政府の景気対策は、それなりの効果

 個人消費の落ち込み幅は、今回の方が小さくなっています。増税幅が小さかったこと、軽減税率が適用されたこと、ポイント還元制度などが採用されたこと、などが寄与したのでしょう。

 大型台風の直撃や暖冬といった消費への逆風が強かったことを考え合わせると、今回の消費の数字からはむしろ「景気対策は善戦した」、と言えるでしょう。

 ちなみに、幼児教育の無償化措置は、本来であれば個人消費を減らす要因です。無料になった分を家計が貯金してしまえば、消費額は減るからです。それを考えれば、ますます善戦だったわけです。本来は減るはずだったのに、あまり減っていないからです。

 幼児教育の無償化は、金のかかる子育て世代の負担を軽減する政策ですから、無償化になった分が別の消費に回ったのでしょう。「子育てに金がかかるから、親の消費は我慢しよう」と考えていた所に、子育てに金がかからないということになれば、当然その分は貯金には回らず、親が消費に金を使うようになるでしょうから。

 余談ですが、幼児教育の無償化は、景気対策として優れていると同時に、少子化対策にもなるので、素晴らしいと思います。もっとも、保育園の待機児童は何ももらえない、というのではバランスを欠きますので、待機児童にも「ベシーシッター補助金」などを支給すべきでしょうね。

 住宅投資の落ち込み幅の小ささについても、住宅ローン減税の拡充が奏功したものと考えて良いでしょう。前回の反省が生かされた一例ですね。

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