前向きに読み解く経済の裏側

2020年2月20日

»著者プロフィール
閉じる

塚崎公義 (つかさき きみよし)

経済評論家

1981年 東京大学法学部卒、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。主に経済調査関連の業務に従事。2005年 銀行を退職して久留米大学へ。現職は久留米大学商学部教授であるが、当サイトへの寄稿は一個人として行うものであるため、肩書きは「経済評論家」とする。

世界経済の悪化と重なったタイミングの悪さ

 消費と住宅投資の落ち込み幅が政府の対策等で小幅にとどまったにもかかわらず、GDPは大幅マイナスとなりました。それは、消費増税とは全く関係のない要因である海外経済の悪化が、輸出と設備投資を押し下げたからでした。

 世界経済が悪化したのは、米中貿易戦争(実際には冷戦)の直接の影響もあったのでしょうが、それよりも世界中の企業経営者が「米中貿易戦争で何が起きるかわからないから、設備投資は1年待って様子を見よう」と考えて投資を手控えた事の影響等の方が大きかったのかもしれません。

 その意味では、タイミングが悪い時に消費税を増税したということになります。消費増税を1年待つ事の問題点は、「現在すでに1100兆円に膨らんでいる政府の借金が、数兆円だけ余分に増える」という「誤差の範囲」の問題だけですから、1年待って、海外の景気が回復し、「消費増税をしても大丈夫だ」と確信できるようになったタイミングで増税をすれば良かったのだと思います。

1−3月期は新型肺炎でマイナス成長に

 本来であれば、10−12月期の落ち込みから1−3月期は回復して、景気後退を免れたはずでした。仮に景気が後退したとしても、浅くて短い後退となるはずでした。そのあたりの事は昨年末の拙稿『来年の景気は薄曇りだが、突然の嵐に要注意』をご参照下さい。

 しかし、消費増税派にとっては誠に不運なタイミングで新型肺炎が流行してしまいました。「中国の景気が落ちこんで日本の輸出が減る」「中国製の部品が不足して日本国内の生産が滞る」「中国からの観光客の爆買いが消える」といった影響に加え、日本人が行楽等を控えるので日本人の消費も減り、景気には比較的大きなマイナスとなるでしょう。流行が比較的軽微で、数カ月で沈静化したとしても、です。

 そうなると、景気は後退することになり、「消費税を契機として景気は後退した」と人々の記憶に残ることになるかもしれません。

関連記事

新着記事

»もっと見る