前向きに読み解く経済の裏側

2019年12月30日

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 2020年の景気は、良くも悪くもない状況が続くだろうが、リスクシナリオには要注意だ、と久留米大学商学部の塚崎公義教授は考えています。

(oatawa/gettyimages)

景気の現状は「薄曇り」

 今年の景気は、昨年と比べると若干見劣りしていました。米中貿易戦争そのものの影響というよりも、「先行きが不透明だから、投資を手控えよう」という企業が多かった事の影響が大きかったと思われますが、国内も海外もやや不冴えでした。

 もっとも、景気の水準としては、絶好調とまでは言えませんでしたが、失業率も低く、企業の利益水準も高く、マズマズだったと言えるでしょう。快晴ではないけれども、曇天とも言えない「薄曇り」といったところでしょうか。

 10月の経済指標は大きく悪化しましたが、消費増税に伴う「駆け込み需要の反動減」が大きく影響している上に、台風19号の影響も大きかったと思われます。店を閉めたという小売店もあり、外出を控えたという消費者もいたでしょう。被災地では消費どころでは無かったでしょう。

 加えて「被災地のことを考えると、贅沢をする気にならない」という「自粛組」もいたでしょう。筆者は「自粛しても被災者は喜ばないから」と考えて、被災地の特産品の酒と肴で消費喚起に努めましたが(笑)。

 したがって、11月と12月の数字を確認する必要はありますが、景気の落ち込みというよりは、「単月の指標の振れ」である可能性が高いでしょう。景気は現在も「薄曇り」だと考えて良さそうです。

来年の景気も「薄曇り」がメインシナリオ

 現在の景気の方向は、横ばいから僅かに下向きといった所でしょう。景気は自分では方向を変えませんから、これを政府が変えるか、外国からの影響を受けるか、が来年の景気を決めることになります。

 政府は比較的規模の大きい経済対策をとるようですから、来年の景気は横ばいか、若干上を向く可能性が高いかもしれません。

 海外を見ても、先進国の景気先行指数は下げ止まっているようです 。このまま推移すれば、海外の景気が日本の輸出の足を引っ張ることもなさそうです。

 東京オリンピック後の景気の落ち込みを心配している人も多いようですが、前回のオリンピックの時とは経済規模が違うため、オリンピック需要が経済に占めるウエイトが小さいので、影響は限定的でしょう。

 加えて「労働力不足だから、オリンピックが終わるのを待ってから着工しよう」というプロジェクトも多数あるようですから、大丈夫でしょう。

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