前向きに読み解く経済の裏側

2020年4月28日

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塚崎公義 (つかさき きみよし)

経済評論家

1981年 東京大学法学部卒、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。主に経済調査関連の業務に従事。2005年 銀行を退職して久留米大学へ。現職は久留米大学商学部教授であるが、当サイトへの寄稿は一個人として行うものであるため、肩書きは「経済評論家」とする。

 不動産価格が暴落すると、それがさらなる暴落を招くメカニズムが働きかねない、と塚崎公義氏は心配しています。

 新型コロナの影響で世界経済が深刻な不況に突入しています。金融危機を心配する人も増えて来たようなので、金融危機について数回のシリーズで考えてみたいと思います。今回は第4回です。

(Andrii Yalanskyi/gettyimages)

 本稿は、あくまでもリスクシナリオとして金融危機を論じるものであり、決してメインシナリオとして金融危機を予想して読者を不安に陥れようというものではありません。過度な懸念は不要ですので、落ち着いてお読みいただければ幸いです。

株価の暴落にはさらなる暴落を招くメカニズムがある

 株価が暴落すると、その事自体が更なる株価の暴落を招くメカニズムが働きかねません。「借金で株を買っている投資家に対して不安になった銀行が返済を求めるため、投資家は株を売って借金を返済せざるを得ない」「株価が暴落すると、更に下落するだろうと予想して、株を買うのを待つ人がいる」といったものです。詳しくは拙稿『株価の暴落が更なる暴落を招くメカニズムに注意』を御参照いただければ幸いです。

 不動産にも、少し異なりますが、似たようなメカニズムが働き得ますので、株と同様に価格が暴落すると更なる暴落が起きる可能性があるわけです。

販売用不動産が売れなくなり、投げ売りが増える

 まず、販売用不動産を購入した事業者は、不動産価格が暴落して手持ちの物件が販売できなくなると、借金が返済できなくなりかねません。そうなると、返済期日の直前に投げ売りしてでも返済資金を調達する必要が出てくるので、不動産の供給が増えるかもしれません。

 場合によっては、不動産価格が半値になると、返済資金を調達するために予定の2倍の物件を投げ売りする事業者が出てくるかもしれませんね。

不動産価格暴落で銀行が不動産融資に慎重化

 販売用不動産を除けば、不動産購入資金を銀行から借りる場合には、長期契約をする場合が多いので、銀行が「返して欲しい」と言ってくることは少ないと思います。

 しかしそれでも、不動産価格が暴落すると、担保価値が下がりますから、銀行としては新規の貸出には慎重になります。不動産購入者の多くは現金ではなく借金で購入するでしょうから、銀行の貸出姿勢の慎重化は不動産購入需要を大幅に減らすでしょう。

 なお、不動産購入者の中には、買い替えも多いでしょうが、買い替えの場合には売り注文と買い注文が同時に出てきますので、不動産価格への影響は差し引きゼロだと考えて良いでしょう。

価格の下落は買い控えを誘発

 不動産価格が下落すると、「今の価格ならば買っても良いが、さらに値下がりしそうだから、もう少し待ってから買おう」と考える買い手が増えて、需要が減ってしまうかもしれません。

 株の場合にも、同様に買い控えが発生する場合があります。価格が下がると需要が増えるのが普通ですが、株や不動産の場合には一時的に需要が引っ込んでしまう場合もあるのです。

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