テレワークが普及すると、会社として社員たちをある程度信じ、裁量を与えないと仕事ができなくなります。捉え方によっては、在宅勤務などテレワークをする社員の管理をより一層に強化することもできるのかもしれません。たとえば、毎日、ログ(履歴の記録)を確認したり、オンラインミーティングを通じて頻繁に報告を求めたりすることもできます。
しかし、それが行き過ぎると、まるで機械のような扱いになりかねません。その発想を変えないと、テレワークは上手くいかないと思うのです。働く場所と行動を縛ることに、意味があるのかどうかと常に考えることが大切になります。
真意とそれに基づく力が必ずしもイコールとは限らない
テレワークの普及に伴い、経営者を始め、役員や管理職には、これまで以上に観察力と鈍感力が求められるでしょうね。観察力とは、たとえば、部下の仕事の現状や課題、問題点を見抜く力です。営業部員が書く日報を鵜呑みにするのでなく、そこから深く感じ取る力でもあります。話がやや広がりますが、社員の心理的な特性を見抜く観察力を磨くためには、私の経験論に基づくと、占いが役に立ちます。私は、タロット占いが好きですね。こんな話をすると笑う方がいますが、成功している経営者に占い好きは多いのです。
鈍感力はたとえば、「この社員はここがまだできていないはず」と感じたとしても、その時点ですぐに指摘をせずに、こらえる力です。その後の社員の仕事の状況を見つつ、より適切なタイミングで伝えるか、あるいはあえて言わない場合もあります。
私の経験論をもとに言えば、「この社員にはこういう傾向がある」と把握していても、大きな問題が生じていないならば、言わないほうがいい場合があるのです。まずは、その人に寄り添うことが必要でしょう。言わないほうが、その社員の勤労意欲を高めることができる場合もあります。真意とそれに基づく力が必ずしもイコールとは限らないのです。私が「正しい」と思い、それに沿って行動を取ったとしても、上手くいかないケースがあるものなのです。
1人が強いリーダーシップを発揮し、社員たちを引っ張る時代は終わりつつあります。最近、コロナウィルスの感染拡大に伴い、地方自治体の首長(知事や市長など)が積極的な発言をしていますが、時代は変わりつつあるとあらためて感じます。読者の皆さんの職場でも、管理職が中心となり、観察力と鈍感力を生かし、働きやすい環境を作り、会社を成長させていただきたいですね。私も、その支えをしていきたいと考えています。
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。